2004.06.15

【楽患ねっと】 「いのちの授業」で伝えたいもの 「患者も大変だけど先生(医師)も大変だネ」

 楽患ねっとが主催する「いのちの授業」に参加した。患者さん、あるいは遺族の方が語る「病気」や「死」に触れることは、正直言って辛いことだろうと考えていた。

 都内の文京シビックセンターの1室。10畳ほどの和室に、座布団が敷かれている。始まる10分ほど前に着いたが、すでに30人ほどの方々が訪れていた。小学生ぐらいの子供たちの姿もあった。

 最初にお話されたのは、廣澤直美さん(写真)。8年前、悪性リンパ腫のため、当時15歳の娘さん(彩里=さいり=さん)を亡くされている。

 廣澤直美さんは、「娘さんの声」を伝えてくれた。

 「病院にいる時の私の気持ちは枯れているけど、今日はひまわりの気分だ」

 入院以来2回目となる外泊許可がおり、彩里さんは小学校の卒業式に臨む。「みんなと一緒に卒業式に出たい」という願いが叶ったのだ。無事に式を終え帰宅してからの夕食時。彩里さんは「ひまわりの気分」に浸った。

 「患者も大変だけど先生(医師)も大変だネ」

 中学校の入学式に出席。しかし、彩里さんが中学1年生として登校できたのは入学式をいれてたったの6日間にすぎなかった。

 病気との闘いの中、弱音を吐くことも少なくなかったという。「どうしてこんな病気になっちゃったの?これが運命なの?私はがんばっているのにネエ。運命はだれにも変えられないの?奇跡は起こらないの?・・・」。突然、「怖いよ、怖いよママ。助けて」と泣きながら手を差し出すこともあった。

 それでも「必死に病気になった自分を受け止めようとしていた」(直美さん)。その最中に言葉になったのが、「患者も大変だけど先生も大変だネ」だった。

 「私ね。この病気と正面から闘うことにした」

 専門病院に入院。小児病棟での療養が続く。自分の骨髄液を顕微鏡で見た翌日、彩里さんは病気と向き合うことを決意する。こうも続けた。「治療を受けるのは私だからね。だれかに話したら少しは楽になるかもしれないけど、痛い思いをするのは私だから」。

 この言葉を聞いた時、母親の直美さんは、「娘なのに一人の人間として尊敬した」と話す。

 辛さも痛みも自分で受け止めなければならない。その覚悟を母親に伝えたのだ。
(三和護)

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