2004.06.15

イマチニブに対するGISTの二次耐性克服の方法として期待の寄せられるSU11248とRAD001

 イマチニブは消化管間質腫瘍(GIST)に対して従来治療より優れた効果を示し、承認と同時に第一選択薬の地位を占めるに至っていると言える。しかし、イマチニブに耐性を示す腫瘍細胞クローンも存在し、これへの対応が重要な課題となってきている。米国Dana-Farber Cancer InstituteのG. D. Demetri氏(写真)らは、イマチニブ使用中に二次性の耐性を示したGIST症例に対し、VEGFR、PDGFR、FLT3、KITなどのキナーゼ阻害薬であるSU11248を投与し、その効果を検討したところ、同薬剤はイマチニブ耐性のGIST症例に対しても一定の生物学的阻害活性を示した。

 また、ベルギーZiekenhuizen Leuven大学のA. T. van Oosterom氏(写真下)らは、今回、GISTにイマチニブとmTOR阻害薬であるRAD001を併用で投与し、その薬物動態について検討したところ、イマチニブの血漿中濃度が高まることが確認され、メカニズム的にも薬物動態的にも併用による治療効果の増強が期待されることが確認されたという。

 イマチニブの標的分子であるBcr-Abl、KIT、PDGFRに対してさらに何らかの遺伝子異常が付加することで、イマチニブに耐性の細胞クローンが出現してくることが既に知られている。SU11248は上述のごとくイマチニブとは異なるキナーゼ阻害作用を有しており、イマチニブ耐性のGISTに対しても奏効することが期待される。

 Demetri氏らは、切除不能かつ/または転移性GISTで、イマチニブに耐性または不耐容で進行を示した症例97例を対象に、SU11248の有効性と安全性を評価する臨床第2相試験を実施。その結果、評価可能であった92例におけるPRは7例(8%)、SDは53例(58%)で、総体的には60例(65%)で疾患コントロールが得られたという。副作用に関しては疲労感74%、下痢68%、嘔吐54%などが高頻度に見られたが、grade 3、4の重篤なものは無症候性リパーゼの上昇13%、高血圧11%、疲労感8%などが主なもので、まずまず許容できる耐容性が示された。

 なお、この結果を受けて現在、やはりイマチニブに二次耐性のGISTを対象に、SU11248のプラセボを対照とした有用性について検討する臨床第3相試験も進行中であるという。

 mTOR阻害薬RAD001は活性化されたKIT、PDGFRからのシグナル伝達を、下流のmTORで阻害する作用を有している。したがって、イマチニブとRAD001を併用した場合、KIT、PDGFRとmTORという2つのターゲットでシグナル伝達が阻害されることになり、併用効果が期待できる。また、イマチニブに対する耐性機序の1つとして、使用期間が長くなるにつれて排泄亢進が起こることが指摘されているが、RAD001には、これを阻害する効果も想定される。なぜなら、RAD001はイマチニブと肝臓における代謝酵素が共通していることから、この両薬剤を併用した場合にはお互いの排泄が抑制される可能性があるからである。

 実際にVan Oosterom氏らがGIST患者12例を対象にイマチニブとRAD001を併用し、それぞれの薬物動態に対する相互作用について検討したところ、イマチニブの血漿中濃度がやや上昇し、排泄が遅延する傾向がうかがわれたという。また、同試験ではFDG-PETの骨盤や肝臓における取り込みが併用により抑制されるなどの効果も認められており、さらに耐容性の面でも併用による悪化は認められなかったという。

 イマチニブとRAD001の併用に関しても現在、併用の仕方や用量などを工夫しつつ、種々の臨床試験が進行中である。(尾辻誠)

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