2004.06.10

EGFR阻害薬セツキシマブと放射線の併用が頭頸部癌患者の生存期間を2倍延長

 EGFR(ヒト上皮成長因子受容体1)を阻害するモノクローナル抗体のセツキシマブ(C225)の投与と放射線照射の併用療法が、放射線照射のみの治療に比べ、局所進行頭頸部癌患者の生存期間を約2倍に延ばすことが分かった。6月8日の一般口演「Head and Neck Cancer」で、Alabama大学のJ.Bonner氏が発表した。

 セツキシマブは、ゲフィチニブやエルロチニブと同様にEGFRを標的とする分子標的薬だが、作用機序は後2者と異なり、細胞膜上のEGFRに抗体のふたをして、細胞膜の内側にあるEGFRチロシンキナーゼの活性を阻害することで癌細胞の増殖シグナルを遮断する働きを持つ。特に、頭頸部癌はEGFRを過剰に発現している癌種であるため、セツキシマブのようなEGFR阻害薬の投与が、腫瘍の放射線感受性をより高めるはずだと、Bonner氏らは考えた。

 この試験では、頭頸部局所にとどまる進行性扁平上皮癌の患者424例を対象に、高線量の放射線照射とセツキシマブ投与を併用する群(211例)と、高線量の放射線照射のみを行う群(213例)にランダムに分け追跡した(観察期間の中央値38カ月)。

 その結果、第1次エンドポイントである生存率はセツキシマブ併用群で、放射線照射のみの群に比べ有意に優れていた(生存期間中央値54カ月vs28カ月、p=0.02)。2年後、3年後もセツキシマブ併用群でより生存者の割合が高かった(62%対55%、57%対44%)。グレード3以上の皮疹(34%対18%、p=0.0003)と注射に伴う有害反応(3%対0%、p=0.01)がセツキシマブ併用群で多く発生したが、それ以外の副作用の発現頻度は両群に差がみられなかった。

 頭頸部癌は世界で年間約50万人以上が罹患し、20万人以上が死亡する予後不良の疾患だ。現在、局所進行頭頸部癌に対しては化学療法と放射線照射の併用療法が最も強力な治療とされるが、毒性が強く、粘膜障害や嚥下障害などの
副作用がほとんどの患者で起きる。Bonner氏は、「セツキシマブとの併用は、高線量の根治的放射線照射の副作用を最小限にとどめつつ、化学療法に伴う粘膜障害などもなく、局所コントロールと生存率改善を可能にする治療法だ。治療に放射線照射が重要な役割を果たす、ほかの上皮性癌に対してセツキシマブとの併用を試す根拠となるデータだ」と語った。

 セツキシマブは、米国イムクローン・システムズ社とブリストル・マイヤーズスクイブ社(BMS)が開発中の薬剤。2004年2月に、イリノテカン抵抗性あるいは不耐の転移性結腸直腸癌患者に対して、奏効率データに基づき、セツキシマブの使用を米国食品医薬品局(FDA)が承認したが、セツキシマブ併用の延命効果を確認した試験は今回が初めて。(大滝隆行、日経メディカル

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