2004.06.10

小児GISTは成人のそれとは生物学的な発症メカニズムが異なる、診断にも独自の留意が必要

 消化管間質腫瘍(GIST)は成人に比較して小児では発症頻度が低く、その自然暦、分子学的特徴なども、実際にはよく知られていない。カナダHospital for Sick ChildrenのV. Price氏らは、自施設における過去11年間の小児GIST症例6例を対象にレトロスペクティブに解析を加えたところ、1.消化管出血に伴う二次性の鉄欠乏性貧血が必発、2.exon 11 c-kitの変異は見られない――などが特徴として浮かび上がってきたという。これらの結果を受けてPrice氏は、「小児GISTは成人とは異なる基準での診断が必要かもしれない」、また「小児GISTは成人のそれとは生物学的な発症メカニズムが異なる可能性もある」などと述べた。

 成人のGISTは消化管における間葉系腫瘍としてはごく一般的なもので、分子学的にはKIT(CD117)で特徴付けられている。これに比べると小児のGISTは稀で、自然暦、分子学的特徴ともほとんど明らかにされていない。Price氏らは、これらの点を明らかにし、それを治療や予後改善に資する目的で今回の検討を行ったという。

 対象はHospital for Sick Childrenで過去11年間に遭遇した小児GIST全6例。臨床所見の解析に加えて、腫瘍細胞からDNAを抽出し、exon 11、9、13変異について検索した。

 6例の診断時の平均年齢は13.6歳(6.9〜14.8歳)、6例中4例が女児で、2例が男児の症例だった。6例の全てで、消化管出血に伴う二次性の鉄欠乏性貧血が見られた。原発巣はすべて胃で、6例中の5例は局所病変であったが、1例は腹膜への播種性の病変が見られた。2例についてはCarney’s triad(Carney’s症候群)と診断された。腫瘍はすべて浸潤性で、KIT(CD117)およびCD34陽性を示し、遺伝子変異の検索結果が得られた3例については、すべてc-kit遺伝子に変異は認められなかった。6例とも治療はすべて外科的切除術が行われ、化学療法を受けた症例はなかった。6例中1例では再発が見られたが、追跡不能になった2例を除く6例中の4例は、現在も存命中である。

 以上からPrice氏は、1.小児GISTはほとんどが10歳代で、胃を原発巣として発症する、2.消化管出血に伴う二次性の鉄欠乏性貧血はほぼ必発、3.exon 11変異は見られないがexon 9変異が見られることがある――を小児GISTの特徴としてあげることができるという。そして、小児の鉄欠乏性貧血が見られた際にはGISTの可能性を疑う必要があること、また、小児GISTは成人GISTとは生物学的な発症のメカニズムが異なる可能性があることを指摘した。

 最後に、Price氏は「小児GISTの自然暦、分子学的表現型、さらに治療方針を明確にしていくためには、多施設での共同研究が必要と思われる」と締めくくった。(尾辻誠)

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