2004.06.10

小細胞肺癌に対して、イマチニブは反応せず

 BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブは、消化管間質腫瘍(GIST)で活性化しているc-kitのチロシンキナーゼを阻害することで、同腫瘍に劇的な治療効果をもたらす。小細胞肺癌(SCLC)でもしばしばc-kitチロシンキナーゼ蛋白の異常発現が見られることから、イマチニブはSCLCに対しても治療効果を示すことが期待される。しかし、米国Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのL.M.Krug氏らの検討では、SCLCに対しては、イマチニブのそのような効果は認められなかったという。

 Krug氏らの検討は、再発性SCLCでc-kitチロシンキナーゼの異常発現を示す症例を対象に、単独施設による臨床第2相試験として実施された。同氏らは、1つあるいは2つの化学療法レジメンが奏効しなかった再発性SCLCの患者に同意を得たうえで、免疫組織化学的(CD117ポリクロナル抗体を用いる)にc-kitチロシンキナーゼの異常発現を検査。陽性例を適格例としてイマチニブ400mg×2/日を投与し、投与開始後4週目と、その後は8週ごとにCTスキャンを行い、治療効果を判定した。なお、今回の検討では、Simon two-stage designを用いてサンプルサイズを算定し(P0=0.05、P1=0.20)、第1段階としては12症例を登録した。

 c-kitチロシンキナーゼ異常発現の検査は39サンプルを対象として実施。うち評価不能の3サンプルを除き、28/36サンプル(78%)がc-kit陽性であった。初期登録例12例についての患者背景は、平均年齢59歳、性別は男女6例ずつ、前化学療法歴は1レジメンが8例、2レジメンが4例であった。前治療に対する反応は3カ月以内に進行を来たした無反応例が6例を占めた。放射線照射歴は胸部と頭部が5例ずつだった。

 イマチニブ投与後の反応は、12例全例が無反応であった。進行までの中央値は1カ月で、生存期間の中央値は2カ月であった。投与後の毒性としては、浮腫が9例(grade1、2、3がそれぞれ3、4、2例)見られたほか、血液学的毒性として白血球減少症3例、好中球減少症2例などが見られた。

 Krug氏らの今回の検討によるSCLCにおけるc-kitチロシンキナーゼ陽性率78%という数字は、これまでの報告とほぼ同様である。また、全体の治療成績も、あらかじめc-kitチロシンキナーゼの検出を行わないでイマチニブをSCLCに投与した、これまでの臨床第2相試験の成績と変わらない。

 以上からは、イマチニブはSCLCに対してはGISTに対するような治療効果は期待できないことが示唆される。イマチニブはin vitroでSCLCの多彩な細胞系の増殖を阻止することが報告されている。しかし、c-kitチロシンキナーゼの異常発現が阻止できないのは何故か。その理由として、Krug氏は「SCLCではGISTと異なってc-kit遺伝子そのものには変異が見られないためではないか」と推論している。

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