2004.06.10

レトロゾールがリンパ節転移のタモキシフェンによる補助療法後の生存率を有意に改善

 閉経後の乳癌患者5000例以上を対象に、レトロゾールの有効性と安全性をプラセボ投与群との間で比較検討する臨床試験MA.17の最新の解析結果がまとめられた。それによると、レトロゾールはリンパ節転移の有無にかかわらず、タモキシフェンによる5年間補助療法後の再発を有意に抑制したのをはじめ、対側乳房の癌発症を抑制し、無病生存率(DFS)を改善する効果が認められた。さらに、リンパ節転移のある患者の死亡のリスクを39%減少させたことが報告された。レトロゾールによる副作用としてはホットフラッシュ、関節炎/関節痛など種々のものが出現したが、ほとんどは軽微なものであり、QOLにも影響を及ぼすことはなかったという。報告者はMA.17を実施したNCIC CTGのメンバーで、カナダPrincess Margaret 病院のP. E. Goss氏。

 タモキシフェンによる5年以上の補助化学療法を行った後の再発率は、リンパ節転移がなければ〜2%/年、リンパ節転移があれば〜4%/年と報告されている。MA.17ではこの再発率を低下させることを目的に、タモキシフェンによる5年間の補助療法後に、さらに5年間の延長補助(エクステンディド・アジュバント)療法としてレトロゾールが投与された。MA.17の適格例は、閉経後であればリンパ節転移の有無は問わず、再発の兆候がなく、ECOGによるパフォーマンスステータスが0、1、2の早期乳癌である。これまでの登録症例は5157例に上り、レトロゾールとプラセボ投与群ほぼ同数ずつに無作為に割り付けられた。一次エンドポイントはDFSで、患側乳房、転移部位における再発、反側乳房における癌発症などについて解析した。二次エンドポイントとしてはOS、長期安全性と忍容性、QOLなどについて評価した。

 今回の解析時までにDFSイベントは247件発生し、死亡例は113例に達した。試験登録後40カ月目での症例数は1115例、フォローアップ期間の中央値は2.5年であった。乳癌の再発はプラセボ群155例、レトロゾール群92例で、レトロゾール群で42%の再発抑制効果が認められた。リンパ節転移の有無別に見た再発は、リンパ節転移ありの場合、プラセボ群102例、レトロゾール群63例、リンパ節転移なしの場合、プラセボ群50例、レトロゾール群23例で、いずれにおいてもレトロゾール群で有意な再発抑制効果が認められた。また、プラセボ群に比べてレトロゾール群では、対側乳房の癌発症においても37.5%の抑制効果が認められた。その結果、DFSはリンパ節転移の有無にかかわらず、プラセボ群に比べてレトロゾール群で有意に長く、また、OSもリンパ節転移ありの場合は、プラセボ群に比べてレトロゾール群で有意に長かった。副作用はプラセボ群、レトロゾール群とも高頻度に見られたのはホットフラッシュ、関節炎/関節痛、筋痛、高脂血症、骨粗鬆症、膣出血などであったが、90%はgrade1、2の軽度のものであった。新規の骨粗鬆症はプラセボ群6%に比べてレトロゾール群8%とやや多かったが、骨折に関してはプラセボ群4.6%、レトロゾール群5.3%で、ほぼ差はなかった。

 レトロゾールによる5年間の延長補助療法の有用性の検討を目的としたMA.17は終了したが、今後は、これまでのレトロゾール群をさらに5年間のレトロゾール投与を継続する群とプラセボ投与に切り替える群に無作為に割り付け、MA.17Rとして続行される予定である。

 「レトロゾールの長期投与での安全性については、MA.17Rが終了した時点での再度の解析によって、さらに明確になっていくであろう」。Goss氏の見解である。

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