2004.06.10

統合失調症治療薬のオランザピン、化学療法による急性・遅延性吐気・嘔吐抑制に著効

 制吐作用があることが知られている統合失調症治療薬のオランザピン(一般名)を加えた制吐薬レジメンに対する第2相臨床試験の結果、シスプラチンを含む化学療法においても、急性・遅延性の吐気・嘔吐(CINV:chemotherapy induced nausea and vomiting)を効果的に抑制することが判明した。6月8日のポスターセッション「患者ケア2」で米Indiana州Notre Dome大学のRudolph Navari氏が報告した。

 Navari氏らの研究グループは、外来で中程度、または高度CINVが出現する化学療法を受けている30人の患者(全員白人)を対象として、第2相臨床試験を実施した。30人中女性が23人で、乳癌(16人)と肺癌(7人)が大半を占める。化学療法は、シスプラチンを含む高度なCINV誘発性のレジメンが10人、ドキソルビシン、イリノテカン、シクロフォスファミドなど中程度のCINV誘発性を持つレジメンが20人だった。

 これらの患者に対して、化学療法の2日前からオランザピンを投与し、投与日以降には5-HT3受容体拮抗薬のグラニセトロン(一般名、日本での商品名はカイトリル)とデキサメタゾンを追加するレジメンを実施した。

 その結果、吐気・嘔吐のエピソードがないCR(Complete Response)の達成率は、化学療法開始後24時間の急性吐気・嘔吐については、高度・中程度CINV誘発性レジメンのいずれでも100%、2〜5日目の遅延性吐気・嘔吐については高度CINV誘発性レジメンで80%、中程度レジメンでは85%と好成績だった。グレード3以上の副作用は見られなかった。

 抗癌剤による急性、遅延性の抑制に用いる第2相臨床試験を実施した結果、レジメンにおいて、吐気・嘔吐が全く発生しないCR(Complete Response)率が急性吐気・嘔吐で100%、遅延性吐気・嘔吐でも80%と極めて優れた成績が得られた。

 本研究はオランザピンの制吐作用についての初の前向き研究であり、高い効果と安全性を示唆する結果が得られている。癌化学療法で患者のQOLと治療意欲を削ぐ最大の要因とされるCINVを抑制する薬剤の選択肢が増えるのは、歓迎すべきことと言えるだろう。

 オランザピンは日本ではジプレキサの名称で2001年6月に精神分裂病(当時)を適用として発売されている。添付文書にも、「本剤には制吐作用があることが知られており、添付文書の重要な注意事項の一つとして、「本剤は制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍などによる嘔吐症状を不顕在化することがあるので注意すること」と記述されている。
(中沢真也)

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