2004.06.10

再開された中医協、国民の信頼回復への道は

 6月9日、中央社会保険医療協議会は、全員懇談会と総会を開催した。4月に中医協を舞台とした贈収賄事件が発覚し、下村健容疑者ら4人の委員・前委員が、日本歯科医師会の幹部らとともに逮捕・起訴されて以来、初めての会議だ。全員懇談会には、起訴された委員らを推薦していた健康保険組合連合会、連合、日本歯科医師会の会長が参考人として出席、それぞれお詫びの言葉を述べた。これに対して出席した委員からは、公益側委員の一人がいくつか質問をしたにとどまり、おせじにも活発な議論が行われたとは言えなかった。

 診療報酬の答申を行う中医協について、医療界には単なる儀式の場に過ぎないとみる人もいるだろう。診療報酬全体の増減はともかく、事件のきっかけとなった「かかりつけ歯科医初診料」の算定要件緩和といった個別点数の設定は、厚生労働省と医療関係団体などとの水面下の折衝で事実上決まるといわれているからだ。

 こうした状況であるなら、自分の収入に直接影響する診療側を除き、他の立場の委員が今ひとつやる気になれないのも無理はない。再生への第一歩となるべき今回の全員懇談会での冷めたような雰囲気は、中医協を取り巻く現実の一端が表れた結果なのかもしれない。

 だが、多くの国民は、中医協を重要な会議の場だと思っているはずだ。国民の期待がある以上、今回の贈収賄事件をきっかけに、中医協は診療報酬の決定という本来の役割を発揮できる機関へ脱皮する必要がある。

 とりわけ、会長が全員懇談会の席上、「国民の期待を裏切った」「国民の信頼を回復する」と口にした健保連と連合には、それに尽くす大きな責任があるはずだ。下村容疑者のような官僚OBに頼らず、診療側委員と真っ向からやり合えるような専門家を自前で養成することが不可欠だろう。
(井上俊明、日経ヘルスケア21

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