2004.06.09

精上皮腫摘出後のカルボプラチン投与 3年後再発のない生存率は放射線と同等、対側精巣癌発症リスクを下げる可能性も

 ステージ1精上皮腫の治療では、通常、腫瘍のある側の精巣を摘出後、アジュバント放射線療法を行うが、これによって10〜20年後に他臓器の癌発症リスクを増加することが知られている。今回、放射線療法の代わりにカルボプラチン(一般名)による化学療法を行うことで、3年後再発のない生存率は放射線療法と同等だとする研究結果が発表された。またこの研究結果では、対側精巣の胚細胞腫瘍リスクを低下する可能性も示した。これは、6月7日に英St. Bartholomews HospitalのR. Timothy Oliver氏が、一般口演で報告したもの。

 同研究グループは、ステージ1精上皮腫の患者1477人を無作為に2群に分け、腫瘍のある精巣摘出後に、573人にはカルボプラチンを1回投与し、904人には放射線療法を行った。

 3年後に再発のない生存率について比較したところ、カルボプラチン群では94.8%、放射線群では95.9%と、両群で差はなかった。また2年後の同率は、カルボプラチン群が97.7%で放射線群が96.7%と、同じく差はなかった。

 さらに、残っている対側精巣に胚細胞腫瘍が発症したのは、カルボプラチン群で2人、放射線群では10人と、有意差はないものの、カルボプラチン投与によって同発症リスクを低下する可能性を示した。なお、追跡期間の中央値は4年だった。

 カルボプラチン群ではまた、治療の副作用による、無気力や吐き気、働くことができない、といった症状の期間が、放射線群に比べて有意に短かったとしている。

 Oliver氏は、カルボプラチンによるアジュバント化学療法が、対側精巣癌リスクのある人にとって、精巣を温存するための治療法として使える可能性があるとしている。(當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. アルツハイマー治療薬開発が進まない理由 理化学研究所神経蛋白制御研究チームシニア・チームリーダーの西道隆臣氏に聞く FBシェア数:172
  2. 57歳男性。両下腿から足背の浮腫と紫斑 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  3. 75歳女性。構音障害、左共同偏視 日経メディクイズ●心電図 FBシェア数:0
  4. JCHO東京高輪病院で感染症内科医7人一斉退職 2017年4月から、ほぼ全科で土曜休診に FBシェア数:648
  5. コデイン類含有製剤、12歳未満は禁忌に まずは「重要な基本的注意」で注意喚起、2019年から全面禁忌 FBシェア数:292
  6. 酸素療法で飛んで行ったメガネ 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:101
  7. 広がる中学生のピロリ検診・除菌 ニュース追跡◎エビデンス乏しく副作用の懸念も FBシェア数:547
  8. 「救急医にはアイデンティティーがない」の呪い 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:69
  9. 末梢神経障害へのエパルレスタットに要注意 セキララ告白!個別指導 FBシェア数:74
  10. なんでこんな検査を定期健診に入れている? 記者の眼 FBシェア数:217