2004.06.09

新規EGFR阻害薬エルロチニブ、非小細胞肺癌に対する第3相試験で生存率を改善

 標準的化学療法が無効だった進行非小細胞肺癌患者を対象にした、新規EGFR(ヒト上皮成長因子受容体1)阻害薬エルロチニブ(OSI-774)に関する第3相試験の結果が、6月7日の一般口演「肺癌II」の中で発表された。エルロチニブ単独投与群とプラセボ投与群を比較した結果、第1次エンドポイントである総生存率がエルロチニブ群で有意に上回った。この結果を発表したPrincess Margaret病院(カナダ)のF.Shepherd氏は、「これは、ファーストラインあるいはセカンドラインの化学療法が無効だった非小細胞肺癌患者に対して、EGFR阻害薬単独の生存期間の延長効果が初めて確認されたランドマーク・スタディーだ」と締めくくり、満席の会場に大きな拍手が湧き起こった。

 この試験では、1次あるいは第2次の化学療法が無効だった進行非小細胞肺癌731例を、エルロチニブ150mg/日単独投与群(488例)とプラセボ投与群(243例)にランダムに分け追跡した。

 その結果、第1次エンドポイントである生存期間が、エルロチニブ単独投与群ではプラセボ群に比べ有意に優れていた(生存期間の中央値6.7カ月vs4.7カ月、p<0.0001)。生存曲線は試験開始約3カ月後からエルロチニブ投与群が上回る格好で推移した。第2次エンドポイントの無増悪生存期間も、エルロチニブ単独投与群で2.23カ月と、プラセボ群の1.84カ月よりも有意に勝っていた(p<0.0001)。また、咳や呼吸困難、痛みの症状が悪化するまでの期間もそれぞれエルロチニブ群で有意に延長し、QOLの点でも優れていた。有害事象は、皮疹と下痢がエルロチニブ群で有意に多く発生したが(76%対17%、55%対19%)、そのほとんどが軽度から中等度の症状だった。それ以外の副作用はわずかだった。

 エルロチニブは、米国OSI Pharmaceutical社と米国Genentech社、スイスHoffmann-LaRoche社が共同で開発を進めている薬剤。ゲフィチニブ(イレッサ)と同様の経口のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬で、再発性非小細胞肺癌患者に対する第2相試験ではエルロチニブ単独で10〜20%程度の奏効率が得られていた。米国OSI Pharmaceutical社は今回の結果を基に、FDA(米国食品医薬品局)と話し合いを進め今年中に承認の申請を行う計画だという。エルロチニブに関しては、ほかにも、膵臓癌を対象にした第3相試験の結果が今年中にまとまる見込み。卵巣癌、大腸癌、頭頸部癌、消化器癌などの固形腫瘍を対象にした初期の臨床試験も進んでいる。
(大滝隆行、日経メディカル

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