2004.06.06

【再掲】C型肝炎ウイルス(HCV)の遺伝子解析でHCV関連肝癌の発生リスクを予測

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染が肝臓癌の発生リスクを高めることが知られているが、個々の患者のHCV遺伝子を解析することにより、将来の肝癌の発生リスクを予測できることが臨床研究のメタアナリシスで明らかになった。東京大学先端科学技術研究センター助教授の森口尚史氏が、6月5日のポスターセッションで発表した。

 森口氏らは、Medlineデータベースから抽出した、難治性とされる遺伝子型HCV-1b症例におけるHCV遺伝子の特定領域PKR-binding domain(PKR-bd;NS5A2209-2274)内の変異数と肝癌発生との関係を調べた海外の研究と日本の施設でのHCV-1b症例データを統合解析した(総対象患者207人)。

 その結果、肝癌発生率は、PKR-bd内のアミノ酸に変異がない患者(wild型)では23.1%にとどまったのに対し、1〜3のアミノ酸が変異している患者(intermediate型)では32.8%、さらに4つ以上のアミノ酸に変異がある患者(mutant型)では56.5%と、PKR-bd内のアミノ酸変異数が多い患者ほど肝癌発生リスクが高いことが分かった(mutant対wild,p=0.004;mutant対intermediate,p=0.002)。

 これまでの個々の研究では、肝癌の発生リスクとHCV遺伝子型との関係は明確ではなかった。このメタアナリシスにより、個々のC型肝炎患者のHCVの遺伝子を解析することで将来の肝癌発生リスクを予測できることが明らかになった。「同じNS5A領域2209-2248に4つ以上のアミノ酸変異がある患者では、インターフェロン(IFN)に基づく治療が奏効することも分かっている(奏効率;61.8%〜100%)。従って、今後、PKR-bdに変異のあるHCV感染者を積極的にスクリーニングし、IFNに基づく治療を行い肝癌発生の予防を図ることを考慮すべきではないか」と森口氏は指摘した。(大滝隆行、日経メディカル


■ 訂正 ■
 2段落目に「PKR-bindingdomain」とあるのは「PKR-binding domain」に、また「関連施設」とあるのは「日本の施設」に、それぞれ訂正します。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師のあこがれ? 「ブラックカード」の魅力 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:1
  2. 70歳代男性。残尿感 日経メディクイズ●腹部エコー FBシェア数:2
  3. 山梨市長逮捕で「医学部裏口入学」を考える 中山祐次郎の「切って縫うニュース」 FBシェア数:37
  4. 女子マネ死亡…AEDを巡る論争に言いたいこと 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:710
  5. インスリンの2回打ちって、もう古い? シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:104
  6. 特集「『説明したのに敗訴』のなぜ」が生まれたわけ 編集会議 on the Web FBシェア数:124
  7. 起立性低血圧は立って1分以内に測定すべき JAMA Internal Med誌から FBシェア数:108
  8. 急激な腎機能低下を一過性と侮るな トレンド◎急性腎障害(AKI)診療ガイドライン発行 FBシェア数:156
  9. 「説明を尽くしたのに敗訴」のなぜ 特集◎医療訴訟の落とし穴《動向編》 FBシェア数:511
  10. 医局に入ったら生涯収入が減るものと覚悟せよ Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:161