2004.06.02

フラバンジェノールの次は、「すいおう」?! 「甘藷茎葉」が糖尿病と高血圧に有効、トクホ取得へ――東洋新薬

 機能性食品やサプリメントの原料メーカーの東洋新薬(佐賀県鳥栖市)は5月24日、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センターと共同で、サツマ芋の新しい品種である「すいおう」の茎と葉(甘藷茎葉=かんしょけいよう)が、糖尿病と高血圧に有効とする研究成果を発表した。

 九州沖縄農業研究センターの山川理所長は、「期待していた以上の研究成果が出た。原料であるすいおうは国産で、生産に特別な工夫がいらず、茎葉は種イモから何度も収穫できる。粉末化しているのでパンや麺類、アイスクリームなどに加工しやすい」と語る。

 東洋新薬の服部利光社長は、「現在は、試験管レベルの試験と、ラットによる動物試験の段階だが、ヒトを対象とする臨床試験を今後行い、3年をメドにトクホ(特定保健用食品)を取得したい。初年度は5億円の売り上げが目標」とした。

 「すいおう」はイモの部分より、茎と葉を主に食べる新しいサツマ芋。夏が旬で、新しい夏野菜として期待されている。鹿児島や岡山などで生産されており、茎葉はえぐみや苦味が少なく、食味が良い。他の野菜と比べてビタミンやミネラルの含有量が多く、特にポリフェノール含量が多いという。

 すいおうの茎葉に含まれるポリフェノール中には6種類のコーヒー酸誘導体が含まれており、これらの薬理作用が高いとみられている。

 従来から甘藷茎葉には抗酸化、活性酸素消去、メラニン生成抑制、抗炎症、抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、肝臓障害軽減などの作用が報告されてきたという。

 今回新たに明らかになったのは、糖尿病と高血圧を予防・改善する作用。

 糖尿病関連では、1.インスリン分泌促進(1型糖尿病に有用)、2.アルドース還元酵素阻害(糖尿病合併症に有用)、3.高血糖値の低下、4.インスリン感受性の上昇(2型糖尿病に有用)、5.糖摂取時の血糖値上昇抑制(耐糖能改善)――を試験管レベルの試験や糖尿病モデルラット試験で確認した。

 このうち3.高血糖値の低下作用に関しては、食後の血糖値上昇を穏やかにする作用があり、トクホ「蕃爽麗茶」の主成分でもあるグァバ葉ポリフェノールとの比較試験も実施。

 糖尿病モデルラットを対象群、甘藷茎葉の2群(100mg/kgと1000mg/kg)、グァバ葉抽出物群(1000mg/kg)の計4群に分け、7日間経口投与した。

 その結果、甘藷茎葉(100mg/kg)とグァバ葉抽出物(1000mg/kg)がほぼ同等、甘藷茎葉(1000mg/kg)は血糖値を最も下げた。この結果から、「甘藷茎葉は、グァバ葉抽出物より約10倍の効果をもつ」と東洋新薬は説明する。

 一方、高血圧関連では、1.アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害、2.血圧上昇抑制――の作用を試験管内試験と高血圧自然発症モデルラットで確認した。

 今回の一連の試験で、甘藷茎葉に含まれるコーヒー酸誘導体のうち、3,4,5-トリカフェオイルキナ酸(triCQA)の薬理作用が特に高いことがわかった。

 1.ラットすい臓細胞で調べたインスリン分泌促進作用の試験でインスリン濃度を最も高めた、2.アルドース還元酵素阻害活性の試験で阻害作用が最も強かった、3.アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害活性が最も強かった。

 このうち、2.アルドース還元酵素阻害活性は、医薬品のエパルレスタット(商品名:キネダック)と同等の阻害活性を示したという。

 こうした研究を背景に今後、triCQA濃度を高めた素材供給が行われる可能性がある。

 東洋新薬は、「トクホは青汁関連で11品目取得しているが、年内に青汁以外で3〜4つ取得したい」としている。

 同社は、サントリーのフラバン茶などにフラバンジェノールを供給している。フラバンジェノールはフランス海岸松樹皮ポリフェノールのことで、抗酸化力が強い成分として注目を集めている。甘藷茎葉は、フラバンジェノールの次の大型素材に育つと同社では期待している。(『日経ヘルス』編集部


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