2004.06.01

欧米二大学会がCOPDの指針改訂 米国胸部学会のホームページ上で公開

 5月21日から米国オーランド開かれていた米国胸部学会(American Thoracic Society;ATS)の第100回国際会議で、ATSと欧州呼吸器学会(European Respiratory Society;ERS)は、合同で作成した慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の新しい診療ガイドラインを発表した。ガイドラインは、ATSのホームページ上で公開された(http://www.thoracic.org/copd)。

より見やすく分かりやすく

 今回発表されたのは、1995年に作成されたガイドラインの改訂版。2001年に米国国立心肺血液研究所(NHLBI)と世界保健機関(WHO)が発表し、世界中の専門医が診療根拠としているGOLD(global initiative for obstructive lung disease)に収載された内容などの新知見が反映された。

 最大の特徴は、細かい記述がなされているGOLDに比べて、表現がかなり簡潔化された点だ。ガイドラインのトップには、臨床病期ごとの適切な介入方法などが分かりやすい図で提示されている。

 この図では、病期を、リスクあり(At Risk)、症状あり(Symptomatic)、増悪あり(Exacerbations)、呼吸不全あり(Respiratory Failure)の4段階に分類。介入方法としては、禁煙は1段階目(リスクあり)から、薬物療法などの疾患管理は2段階目(症状あり)から、呼吸器リハビリテーションは2〜3段階目(症状あり〜増悪あり)から、外科療法などの他の治療法は4段階目(呼吸不全あり)から、それぞれ行うことが推奨されている。

現状では世界標準に沿った内容

 今回のガイドラインでは、COPDの定義や病態生理などの基礎知識や、安定時と増悪時の管理法なども説明されている。診断時には、スパイロメーターによる1秒間の努力呼気肺活量の測定を強く推奨しているほか、治療の第一歩を禁煙としているなど、おおよそGOLDの方針を踏襲している。ガイドラインの作成メンバーには、COPDの患者も加えており、一般医師だけではなく、患者向けの解説も盛り込まれている。

 作成に携わった米タフツ大のB.チェリ氏は、「今後は、BMIや呼吸困難の程度などを考慮した診断指標を作るなど、改訂作業を続けていく予定だ」と話しており、将来的にはGOLDよりもきめ細かい内容になることも推測される。

重大疾患COPDに世界が注視

 今年のATS国際会議では、COPD関連の発表に参加者の高い関心が集まった。従来、COPDに当たる疾患は、肺気腫と慢性気管支炎に分けてとらえられていたが、参加者にインタビューしたところ、COPDを一つの疾患と見なす考え方が世界的に浸透していることがうかがわれた。

 COPDは、米国で死因の第4位であるほか、世界各国で重大な死因として位置付けられている。今回のガイドライン改訂の背景にも、こうした社会的な関心の高まりがある。今後、COPDの認知度が高まることは確実だが、この疾患が喫煙を主な原因としていることから、禁煙運動が一層高まってくることも予想される。
(星良孝、日経メディカル

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