2004.05.21

ホモシステインが多いと骨折しやすい 米国とオランダの2研究で同じ結果に ホモシステインを減らすビタミンB群サプリに注目

 ホモシステインが多い人は、骨折しやすい−−。米国とオランダで別々に行われた二つの疫学研究が、奇しくも同じ結果になり、米国の著名な医学誌「New England Journal of Medicine」(NEJM)誌5月13日号に同時掲載された。

 ホモシステインは動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞(こうそく)などのリスクを増やす要因として、最近注目されている物質。ビタミンB群が不足していると、体内でホモシステインが増えることがわかっている。

 逆に、ビタミンB群のうち、葉酸、ビタミンB12とビタミンB6の3種類をサプリメントとして十分に摂取すると、ホモシステインが減ることも確かめられている。

 ビタミンB群のサプリを摂取することで骨折を防げるかどうかはまだ確認されていないが、動脈硬化を防ぐだけでなく、骨を強くするために、ビタミンB群を取る人が増えそうだ。

 米国からの報告は、「フラミンガム研究」(Framingham Study)という、1940年代から続いている地域コホート研究(同じ地域に住んでいる人を長期間追跡調査する研究)に基づくもの。1979〜82年時点で59〜91歳だった住民1999人の、98年までの追跡データを使った。

 スタート時点での血中ホモシステイン量で4グループに分け、脚(大腿骨頚部)の骨折リスクを比較。年を取るほど骨折リスクは高まるので、年齢でデータを補正した。

 すると、血中ホモシステイン量が最も多いグループは、血中ホモシステイン量が最も少ないグループと比べて、男性で4倍、女性では1.9倍、骨折リスクが高かった。

 一方のオランダの研究は、「ロッテルダム研究」(Rotterdam Study)と「アムステルダム縦断加齢研究」(Longitudinal Aging Study Amsterdam、LASA)という、オランダを代表する二つのコホート研究に基づく。

 55歳以上の、合わせて2406人分のデータに対して、米国の研究と同様の分析を行った。この研究では、年齢や性別、体格指数(BMI)、血中のクレアチニン量(ホモシステイン量と関係している可能性がある)など、結果に影響するかもしれない幅広い要因で補正を加えた。

 その結果、脚や手首などあらゆる部位の骨折を総合して評価すると、血中ホモシステイン量が最も多いグループは、最も少ないグループより、1.9倍骨折しやすいことが判明した。

 さらに、骨の折れやすさの指標になる「骨密度」と、血中ホモシステイン量とは無関係であることもわかった。

コラーゲンの網目構造形成を阻害するホモシステイン

 ホモシステインは、メチオニンというアミノ酸が肝臓で働くときに作られる。ビタミンB群の葉酸とビタミンB12は、このホモシステインを再びメチオニンに戻す。また、ビタミンB6が十分にあると、ホモシステインはシステインという別の物質に変わる。

 逆に、ビタミンB群が不足していると、本来は一時的な産物であるホモシステインが、体内でどんどん増えてしまう。

 ホモシステインには、コラーゲンという繊維状のたんぱく質が網目構造を作るのをじゃまする作用がある。「ホモシステインが多いと骨折リスクが高まるのは、これが原因ではないか」と、両研究グループは考えている。

 骨の中でも大腿骨頚部や手首などでは、この「コラーゲンの網目構造」が、骨の強さを保つために欠かせないからだ。

 オランダのグループの試算では、お年寄りの骨折の19%は、血中ホモシステインが高いために起こるという。これは、「加齢」(75歳以上)の31%、「転びやすさ」(前の年に転倒したことがある)の20%に次ぐ高い割合だ。

 一般に骨折の要因として重要だと考えられている「低い骨密度」は、この試算では13%と、ホモシステインよりも影響度が小さい。

 つまり、骨密度を増やす薬を使うより、ビタミンB群サプリでホモシステインを減らしたほうが、骨折の予防効果が高い可能性がある。

 ビタミンB群が骨折の予防にどれくらい役に立つか、今後の研究に注目が集まりそうだ。

 米国の研究論文のタイトルは、「Homocysteine as a Predictive Factor for Hip Fracture in Older Persons」。アブストラクトは、こちらまで。オランダの研究論文のタイトルは、「Homocysteine Levels and the Risk of Osteoporotic Fracture」。アブストラクトは、こちらまで。
(内山郁子)
 

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