2004.05.19

【編集委員の目】 痛み分けの高脂血症薬競争、厚生労働省が漁夫の利?

 製薬メーカーの2003年度決算発表がほぼ終わった。今回の注目点の一つは、メバロチン(三共)とリポバス(万有製薬)の特許切れにより、昨年夏に後発品が一斉に発売されたスタチン系高脂血症用剤の売り上げだ。その1年前にやはり後発品が一斉発売された消化性潰瘍用剤ガスター(山之内製薬)の特許切れによる先発品・後発品(ジェネリック)メーカーのせめぎ合いを第1幕とすれば、今回は第2幕にあたる。

 今回の決算で大手後発品メーカーの沢井製薬は、メバロチン・リポバスの後発品の売り上げが貢献、循環器用薬の販売高(連結)が2002年度に比べて46.5%伸びた。しかし、当初計画したほどではなかったという。同じく東和薬品も、全体の売上高・営業利益はまずまずの伸びだったものの、「大型新製品として期待の大きかったスタチン系2製品は、先発メーカーの強力な防御にあい、計画した売り上げ確保は困難だった」としている。

 先発品メーカーはどうか。三共の2003年度メバロチン国内売上高は1018億円。2002年度に比べて89億円減少した。後発品の一斉発売の影響は決して小さくなかったと見るのが自然だろう(万有製薬は非上場会社のため決算未公表)。

 このようにメーカー同士の戦いは、どちらに軍配が上がったとも言いづらい状況だ。となると、真の勝者は厚生労働省だと見ていいのかもしれない。2004年4月の薬価改定で、メバロチンの後発品は東和・沢井ともに約22%、リポバスの後発品は東和が約18%、沢井に至っては約28%も引き下げられたからだ(いずれも5mgの錠剤)。先発品の薬価も、メバロチン・リポバスともに10%超引き下げられている(同)。

 後発品が発売されて各社が新市場開拓と既存市場確保にしのぎを削れば、当然その薬の市場価格は低下し薬価も引き下げられる。今年、来年も売上高の大きい先発品のジェネリックが相次ぎ発売されると見られるが、結局高笑いするのは医療費削減を目指す厚生労働省だけなのだろうか。
(井上俊明、日経ヘルスケア21

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師のあこがれ? 「ブラックカード」の魅力 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:1
  2. 「爪剥がし事件」で逆転無罪、正当な医療行為と認定 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:32
  3. 女子マネ死亡…AEDを巡る論争に言いたいこと 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:882
  4. 山梨市長逮捕で「医学部裏口入学」を考える 中山祐次郎の「切って縫うニュース」 FBシェア数:38
  5. 開業物件を決められない医師が陥りがちな罠 その開業、本当に大丈夫ですか? FBシェア数:30
  6. 70歳代男性。残尿感 日経メディクイズ●腹部エコー FBシェア数:3
  7. アメフト選手の大半は慢性外傷性脳症だった JAMA誌から FBシェア数:153
  8. ガイドラインを引用する訴訟が急増しています 特集◎医療訴訟の落とし穴《インタビュー》 FBシェア数:64
  9. 「できるだけ安い薬を出して」と言われたら シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:103
  10. インスリンの2回打ちって、もう古い? シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:127