2004.05.18

【糖尿病学会速報】 2型糖尿病で日本人のエビデンスが明らかに、白人に比べ肥満は少なく

 日本人の2型糖尿病で新たなエビデンスが明らかになりつつある。5月13日のシンポジウム「大規模臨床試験とその後の展開」では、日本の大規模臨床介入試験であるJapan Diabetes Complications Study(JDCS)について、筑波大学の山田信博氏(写真)が報告した。

 JDCSは、日本人の2型糖尿病患者の特徴や診療状況、合併症の発症・増悪因子などを明らかにするため、1996年から実施されている。JDCSに登録された症例数は2547例。全国の59カ所の糖尿病専門施設に外来通院中で、日本糖尿病学会の診断基準に合致したHbA1cが6.5%以上で45から70歳までの2型糖尿病患者が登録されている。開始時の平均年齢は59.4歳。平均糖尿病罹患年数は11.3年。平均HbA1cは約7.74%だった。

 JDCSでは、これらの登録患者を、非介入群と介入群分け、非介入群には従来どおりの外来治療を継続し、介入群には生活習慣改善の指導を強化する介入を行った。その結果については、血糖コントロール、脂質、血圧、合併症など様々な指標について、毎年調査が実施されている。
 
 山田氏はこれまでの成果を紹介しつつ、7年次の中間報告についても発表した。

 これまでの成果でもっとも注目されるものとして山田氏は、日本人の糖尿病患者では白人の糖尿病患者に比べて肥満が少ない点を指摘した。

 欧米の大規模臨床介入試験であるUKPDSのデータとJDCSのデータを比較したところ、白人患者の場合はBMI値が29.5と高かったのに対し、日本人の値は23.1と低かった。それぞれ一般人口の平均BMIは、白人が24.1、日本人が22.7だった(Sone H,et al.,Lancet2003)。

 つまり、一般に糖尿病患者は太っているという認識があるが、日本人にそのままは当てはまらないことが明らかになったわけだ。山田氏はこの点に触れ、糖尿病の予防と治療において、世界的に肥満の是正が強調されるが、日本人特有の病態が存在することを念頭におくべきであると強調した。

 7年次の中間報告では、網膜症の新規発症と増悪の頻度について報告された。それによると、新規発症率は、1000人年当たり40.6人で、増悪率は1000人年当たり16.0人だった。

 たとえば、新規発症率は1990年の報告である1000人年当たり39.8人とほとんど変わっていなかったことから、山田氏は「網膜症発症の抑制の努力が必要」と指摘した。

 また、HbA1cレベル別にみた網膜症新規発症および増悪をみると、HbA1cが悪いほど新規発症も多く、増悪率も高い傾向が明らかになっており、「厳格な血糖管理のエビデンスが得られている」(山田氏)。たとえばHbA1cが9%以上の場合、7%未満の患者に比べて、網膜症の発症リスクが5倍近く高まることも明らかになっている。

 このほか腎症発症のリスクファクターとして、血圧、脂質、肥満が浮かび上がり、これらの管理が重要である点が確認された。

 一方、介入試験の効果の面では、脳血管障害の抑制が明らかになっている。7年次における1000人年当たりの発症頻度をみると、非介入群が9.92人だったのに対し、介入群が4.98人で、50%もの抑制効果が出ていた。(三和護)

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