2004.05.17

【糖尿病学会速報】 若年発症2型糖尿病、治療中断例に重症合併症の出現目立つ

 せっかく2型糖尿病と診断がついたにもかかわらず、治療を中断したばかりに、重症合併症を発症してしまう−−。若年発症2型糖尿病の予後を追跡した研究で、このような実態が浮き彫りになった。5月15日のワークショップ2「若年発症2型糖尿病」で、横浜市立大学の菊池信行氏が発表した。

 菊池氏らは、横浜市で学童・生徒を対象とした学校検尿による糖尿病検診が始まった1982年4月以降、18歳以下で糖尿病と診断され、横浜市立大学病院小児科に通院歴のある患者を対象に、その予後を調査した。対象者数は、1型糖尿病が117例(学校検尿で発見55例)、2型糖尿病が290例(学校検尿で発見268例)。

 これらの症例を対象に、2003年4月時点で重症合併症(光凝固歴、失明、顕性腎症、透析、心筋梗塞、下肢切断)の有無を調査した。調査の方法は、横浜市大附属の2病院、HECサイエンスクリニック、大久保医院による病院調査および郵送によるアンケート調査。合併症の報告があった例については、主治医に確認した。

 実際に予後を把握できた症例は、1型が92例(対象総数117例、フォローアップ率79%)、2型が161例(対象総数290例、フォローアップ率56%)だった。解析はこの253例について行った。

 診断年齢は、1型が8.9±3.9歳(1〜17歳)、2型が13.1±2.2歳(6〜17歳)。罹病期間は1型が11.1±7.6年(0.1〜19.3年)、2型が8.3±5.1年(0.7〜20.9年)。調査時の年齢は、1型が19.3±7.0歳(2〜30歳)、2型が21.4±5.5歳(10〜36歳)。

 重症合併症の結果は、腎症については、1型の症例に1例、2型に9例確認された。内訳は、顕性腎症前期が1型で1例、2型で6例。また、2型では、顕性腎症後期が2例、腎不全期が1例確認された。

 光凝固歴は、1型に1例、2型で7例に見つかった。失明例はなかった。心筋梗塞、下肢切断のそれぞれについては、今回の対象では確認されなかった。

 菊池氏らは、重症合併症が認められた2型糖尿病の10例について、さらに解析を加えた。その結果、治療中断期間が10例中7例にあった。なお、治療を継続している患者では、診断後20年まで重篤な合併症の出現が認められていない。

 この7例の再受診の契機は、高血糖昏睡、浮腫の出現、視力低下など。中断期間は8年から15年だった。再受診のきっかけが「Prader-Willi症候群」「LMB症候群」の例では、中断期間がなかった。

 今回の調査ではこのほかに、1.診断後の期間と合併症の出現率については、15年を経過すると合併症(特に腎症)が急激に増加する、2.若年発症糖尿病の重症合併症は、1型より2型で発症頻度が高く、かつ早期に出現している、3.中断のない症例では「Prader-Willi症候群」「LMB症候群」を除き3期以上の腎症を認めた症例はなかった−−などが明らかになっている。

 菊池氏らは、中断直前のHbA1cがほとんどの症例で正常範囲にあったことを重視、「今後は小児期発症2型糖尿病の治療中断を防ぐためには、転院時期を含めたフォローアップ体制を再度検討する必要がある」と指摘した。
(三和護)



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