2004.05.17

【糖尿病学会速報】 劇症1型糖尿病症例で、関与の疑い濃いウイルス感染を確認

 健康に過ごしている人が突然、重症の糖尿病になり、調べてみるとインスリン分泌が完全に枯渇している−−。これが「劇症1型糖尿病」の典型的な病態だ。症状や経過などから、ウイルス感染が原因の一つと考えられているが、実際の検出報告は少ない。5月15日のポスターセッション「1型糖尿病3 臨床」で、劇症1型糖尿病でコクサッキーウイルスを検出した症例を愛媛大学医学部臨床検査医学の西田亙氏(写真)が報告した。

 症例は35歳の女性で、2003年X月11日に発熱と強い倦怠感で近医を受診した。その後も全身倦怠感が持続していた。同月15日になって、朝食後に嘔吐があり、午後になって多飲・多尿が出現したため、翌16日に近医を受診したところ、ケトーシスと高血糖を指摘されて同院に緊急入院した。インスリン投与が行われたが血糖コントロール不良で同月19日になってA大学病院に転院した。

 近医入院時の血糖値は905mg/dlと高いのにHbA1cは6.0%と低いなど、所見と検査データから劇症1型糖尿病と診断された。発症後5日時点から中和抗体によるウイルス抗体価の検査が行われており、コクサッキーウイルスB3が512倍と強陽性を示した。その後、5カ月目にはいったん抗体価が低下したが、7カ月目には再び1024倍に上昇したという。

 コクサッキーウイルスはエンテロウイルスの一種。咽頭炎やヘルパンギーナなど、比較的ありふれた小児感染症で検出されるが、心筋障害を引き起こすことで知られている。劇症1型糖尿病患者では致死性不整脈が認められる場合があることから、西田氏は、このウイルスが劇症1型糖尿病の発症に関与している可能性を指摘する。

 本症は、初期には感染症症状で医療機関を受診することも多いため、専門医の受診までに日時を要することが多い。西田氏は、「検尿すれば(糖尿病の存在が)分かるので、一般内科医も本症を認知してほしい」と訴えていた。(中沢真也)

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