2004.05.07

ダイエット成分のカルニチン、ヒットの兆し ゼリー飲料、ペット飲料、サプリなどが幅広く登場

 カルニチンを配合した食品やサプリメントが、続々と発売されている。カルニチンは人間の体内にも存在する物質で、血液中の脂質を筋肉で燃やすのに欠かせない成分。不足している人がカルニチンを摂取すると、体脂肪を効果的に燃やすことができるとされ、2004年の注目ダイエット素材といえる。

 最近発表されたカルニチン配合の主な新製品を、発売日の新しい順に並べてみた(一部、医薬品を含む)。

●カルニチンを配合した主な新商品

《6月7日発売》
・ゼリー飲料「GooDiet! ゼリードリンク」(ニチレイ) 1個180g中にL-カルニチン300mgとアセロラ由来の天然ビタミンC200mgを配合

《4月28日発売》
・医薬品ミニドリンク剤「リポビタンゴールドII」(大正製薬) 1本50ml中に塩化カルニチン100mg、タウリン1500mg、5種類の生薬など13種類の有効成分を配合

《4月27日発売》
・ソーセージタイプ食肉製品「朝のフレッシュ モーニングブラウン」(伊藤ハム) 1食分の目安3本(約54g)当たりにL-カルニチン100mgとビタミンC50mgを含有

《4月14日発売》
・ペット飲料「アサヒ ドデカミン PET500ml」(アサヒ飲料) 1本500ml中にカルニチン65mgと6種類のビタミン、7種類のアミノ酸を配合

《4月5日発売》
・ゼリー飲料「CoQ10細胞元気」(伊藤忠商事) 1袋130g中にL-カルニチン100mgとコエンザイムQ10 50mg、グルタミンペプチド500mgを配合

《3月29日発売》
・ゼリー飲料「ビー・クォーター カルニチン イン」(コンビ) 1袋150g中にL-カルニチン100mg、ガルシニアエキス1500mg、カフェイン100mgを配合

《3月15日発売》
・ミニ瓶飲料「スピード ダイエット」(常磐薬品工業) 1本50ml中にL-カルニチン500mgとBCAA(分岐鎖アミノ酸)など配合

《3月10日発売》
・ペット飲料「アサヒ アミノダイエット」(アサヒ飲料) 1本500ml中にアミノ酸1000mg配合の飲料に、カルニチン65mgを新規配合。280mlペットと2リットルペットもある。

 のどの渇きを止めるのが目的のペット飲料など、カルニチン配合量を発表資料に載せていない商品を除けば、1食分で100mg以上のカルニチンを補給できる商品が並んでいる。

 一方、カルニチンを配合したサプリメントはここ半年ほどで多くの商品が発売されている。ドラッグストアや調剤薬局などで販売されている下記の主な商品をみると、1日目安量として250〜500mgのカルニチンを配合している。

カルニチン配合の主なサプリメント

・「シェイプナビ」(日清ファルマ) 1日目安量2袋(10粒)中にL-カルニチン500mgとCoQ10、アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)、ビタミンB1、B2、B6を配合

・「L-カルニチンプラス」(メタボリック) 1日目安量4カプセル中にL-カルニチン500mgとヒハツエキス末を配合
 
・「カルニチンダイナミック+HCA」(ニューレックス) 1日目安量3粒中にL-カルニチン300mgとHCA(ヒドロキシクエン酸)、ビタミンB1、パントテン酸を配合

・「L-カルニチン ダイエット」(コーワリミテッド) 1日目安量10〜20粒中にL-カルニチン250〜500mgとビタミンC、ビタミンB群、大豆レシチンを配合


 カルニチンは、生体の燃焼炉であるミトコンドリアに脂肪酸を運び込む働きがある。特に、肉や魚、豆類、穀類、植物油といった普段の食事で摂取する脂肪の大半は長鎖脂肪酸で、カルニチンは長鎖脂肪酸をミトコンドリアに運び込んで、燃焼させるのに不可欠の成分だ。

 カルニチンが不足して、ミトコンドリアに運び込む脂肪酸の量が減ると、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれるATP(アデノシン3リン酸)をミトコンドリアで作り出すための原料の供給が細くなってしまう。その結果、体脂肪がたまりやすい状態になると考えられている。

 カルニチンは体内では主として肝臓で、アミノ酸のリジンとメチオニンから合成される。体内合成量は、1日当たり20mg程度と考えられている。

 一方、食事で摂取できるカルニチンは1日当たり100〜300mg程度と、体内合成量に比べて一桁多い。カルニチンは、人間以外の動物にとってもATP合成などに欠かせない大切な物質。食品の中でカルニチンの含有量が多いのは肉類で、特に羊肉は0.2%のカルニチンを含む(100g中に200mg程度)。

 健康な成人は骨格筋や心筋を中心に、体全体で20〜25g程度のカルニチンを保有しているが、体内のカルニチン量は加齢などによって減少するため、食事からカルニチンを補給する量を増やすことが大切と考えられている。

 日本では、ここ半年ほどでカルニチン配合の食品やサプリメントの商品化が広がっているのは、厚生労働省の規制緩和によって、2002年12月から食品へのカルニチン配合と成分表示が可能になったためだ。

 この規制緩和を受けて、カルニチン素材の世界最大手メーカーであるロンザ(本社スイス)の日本法人ロンザジャパン(東京都中央区)や、伊藤ハムの子会社である伊藤ライフサイエンスなどが、食品用途向けのカルニチンの供給を開始した。

 規制緩和から1年ほど経ってから、カルニチン配合の食品やサプリの発売が本格化してきたわけだ。

カルニチンは、慢性胃炎やカルニチン欠乏症の医薬品

 カルニチンは日本では今から43年前の1961年から、医薬品として使用されている。

 一つは、「消化管機能低下のみられる慢性胃炎」の治療薬。塩化カルニチンを使用している。この塩化カルニチン製剤は、マルコ製薬が注射剤「エントミン注」、日本臓器製薬が経口剤「アベダイン液」を処方薬として販売している。

 カルニチンには光学異性体のL体とD体とがあり、体内にはL体のカルニチン(L-カルニチン)が存在するが、医薬品の塩化カルニチン製剤には、L体とD体が混合したカルニチンが使われている。

 通常の化学合成法だと、L体とD体は区別なく混ざった状態のカルニチンができる。40年前の技術では、L-カルニチンのみを作ることは困難だったのだ。

 なお、塩化カルニチン製剤は1日用量が100〜600mg程度。副作用として胸やけ、嘔気(はきけ)が報告されている。

 その後、体内にもともと存在するL体のみを利用した方が、効果や安全性の点から好ましいと考えられるようになり、合成したカルニチンからL体のみを取り出す光学分割技術が工業化され、L-カルニチンの利用は進んだ。

 それを使ったのが、遺伝的なカルニチン欠乏症を改善する治療薬だ。

 1990年から使用されている大塚製薬「エルカルチン錠」は、L-カルニチンを用いた製剤。有効成分の塩化レボカルニチンは、塩化L-カルニチンのことだ。
 「エルカルチン錠」の1日量は体重1kg当たり30〜60mg。これを1日3回に分割して経口投与する。「エルカルチン錠」の場合、実際の対象患者は小児が多いが、仮に体重60kgの成人に換算すると、1回600〜1200mgを1日3回に相当する。

 なお、市販後の調査で、消化器障害や顔面浮腫などの副作用が報告されている。

 医薬品では塩化物が使用されているのに対し、食品やサプリ向けのL-カルニチンは、L-カルニチンそのものの結晶粉末や、L-カルニチンのL-酒石酸塩やフマル酸塩などが利用されている。

 ロンザは、微生物を利用する発酵法によってL-カルニチンの大量生産を可能にした。伊藤ライフサイエンスは獣肉から抽出したL-カルニチン高含有素材を事業化している。

 なお、厚生労働省は副作用が出ないことを考慮して、食品に配合するL-カルニチンの1日摂取量の上限目安量を約1000mg(=1g)としている。

ダイエット効果のエビデンスは、今後の課題

 L-カルニチンをサプリメントで補給すると、どの程度のダイエット効果が得られるのだろうか?

 この問いに応える明確なエビデンス(科学的根拠)は、今のところまだ蓄積されていないようだ。

 ヒト介入試験の成果として、食事制限による減量の効果を1日3gのL-カルニチン補給が高めたという論文が発表されている一方で、運動とともにL-カルニチンを1日4g補給しても減量効果に差はなかったという論文もある。

 しかし、L-カルニチンは長鎖脂肪酸をミトコンドリアに運び込んで燃焼させるのに欠かせないというダイエット効果のメカニズムははっきりしている。長年にわたる医薬品としての使用経験もある。

 もともと体内にある成分で、日常の食べ物から毎日摂取できる成分だが、加齢とともに体内の保有量が減少していくこともわかっている。

 こうしたことを考えると、エビデンスがない点がネックだが、L-カルニチン市場の急拡大は続きそうだ。(河田孝雄)


■ 関連トピックス ■
◆2003.10.10 ダイエット成分のカルニチン、2004年の大ヒット狙う CoQ10も配合、お得感を演出

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. インフルエンザの早い流行で浮かぶ5つの懸念 リポート◎AH3先行、低年齢でAH1pdmも、外来での重症化… FBシェア数:188
  2. 味方ゼロ? 誰にも言えない病院経営の修羅場 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:147
  3. インフルエンザ流行入り、A香港型が中心 寄稿◎2016/17シーズンのインフルエンザ診療の要点 FBシェア数:67
  4. 男性医師は何歳で結婚すべきか、ゆるく考えた 独身外科医のこじらせ恋愛論 FBシェア数:158
  5. 心不全による下肢浮腫に悩む87歳女性への対応 青島周一の「これで解決!ポリファーマシー」 FBシェア数:31
  6. わいせつ容疑の外科医、初公判で無罪を主張 「乳腺科医のプライドにかけて無罪を主張します」 FBシェア数:660
  7. ピコ太郎はどこまで世界に通用しているのか? 安部正敏の「肌と皮膚の隅で」 FBシェア数:1
  8. 開業日未定でも開業スタッフ確保の秘術 原田文子の「レッツ ENJOY ライフ」 FBシェア数:93
  9. 梅毒の流行が止まらず、11カ月で4000人を突破 パンデミックに挑む:トピックス FBシェア数:381
  10. 「スマホ老眼」を放置すると近視になる! 記者の眼 FBシェア数:97