2004.04.23

【楽患な人々】内田スミス あゆみさん(女性、30代)  「私を支えてくれたのは、いろいろな人の闘病記でした」 

 病気の体験をただ「辛く、悲しいもの」と考えるのではなく、貴重な体験として人生のプラスに生かしていけるようにしたい−−。そんな願いの元に、患者さんに交流の場を提供しているNPO法人「楽患ねっと」から、人気コラム「楽患な人々」を紹介します。

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楽患な人々】内田スミス あゆみさん(女性、30代) 
病名:脳腫瘍にて、くも膜下出血後、手術・リハビリの経験あり
闘病記 「東京タワーに灯がともる」

 「28歳の誕生日をわたしは病室で迎えた」内田さん自身が書いた闘病記(東京タワーに灯がともる)の帯には、こんな言葉が書かれていた。「闘病記を書くことで心の癒しができた」と彼女が後書きに書いたこの本は、読む者に息苦しくなるほどの思いをこみ上げさせる。私は結局、この本を最後まで読むことは出来なかった。

内田さん(以下、敬称略): 外資系のキャリアウーマンだった私は、非常に忙しい仕事をしていました。

 1年以上続くひどい頭痛に悩まされていましたが、近医で風邪ではないかと言われたために薬を飲んでずっと我慢をしていました。ひどい症状を早く治して欲しいと思ってはいましたが、自分がひどい病気にかかっているとは思いませんでした。

 ある日、とうとう我慢が出来なくなり病院に行くと、脳腫瘍による水頭症だといわれ、すぐに手術、その後くも膜下出血なども起こし数度の手術を繰り返しました。

 体調が落ち着いてリハビリを始めたころは、医師や家族は命が助かってよかったと喜んでいましたが、自分自身は下半身麻痺で聴覚を失い、病人になったという現実がまったく受け入れられませんでした。「よかったね」と言われることが、この時期は一番つらかったです。でも家族には、これまで迷惑を掛けてきたことを考えると自分の気持ちは言えませんでした。それに、自分の気持ちを分かってもらえるとも思えませんでした。

岩本: 実は、私は内田さんの闘病記を最後まで読めませんでした。ご本人とご家族のお互いを思う気持ちがあまりにリアルでつらくなってしまって。その上、追い討ちをかけるようにいろいろなことが起こって・・・。

 これが現実に起こったら、自分はどうなるのだろうと思うと、そのことから逃げたくなってしまい、読み進めることが出来ないのです。でも内田さんは逃げられなかった。一体どうやって自分を支えていたのですか?

内田:あの時私を支えてくれたのは、いろいろな人の闘病記でした。自分と同じ境遇の人、家族や病院からは治ったと言われていてもその実感が持てずに苦しんでいる人の闘病記を探して読みました。

 誰にも分かってもらえないだろうと思っていた気持ちがそこには書かれていて、救われたような気がしました。つらいと思ってもよい、現実から逃げたくなる人がほかにもいるのだということを確認しただけで、気持ちが楽になりました。

 だから逆にすごく成功した人、人並み以上に頑張った人の闘病記は、この時期は少しつらかったように思います。立ち直っていくには、その人その人のペースがあって、以前と変わってしまった自分を受け入れようと努力する、それだけでよいのだと思います。私が闘病記を読んで助けられたように…。こんな自分の経験も誰かと共有していくことができればうれしいのですが…。病気から8年たって、ようやくそう思えるようになりました。

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(出典;ナースマネジャー@日総研)



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