2004.04.16

くるみを毎日食べると、1カ月で血管の弾力性が改善、動脈硬化を防ぐ

 オリーブオイル、トマトなどをふんだんに使う地中海食は、心臓病を予防するなど、健康的な食事としてよく知られている。この地中海食で使うオリーブオイルの一部を、くるみに置き換えると、高脂血症の人の血管を柔らかくする効果があることが、スペインのエミリオ・ロス医師らによる研究でわかった。米国の医学雑誌『Circulation』誌2004年4月6日号に掲載された。

 これまでの疫学調査で、くるみなどのナッツ類を多く食べる人は、心臓病のリスクが低くなると報告されている。ナッツ類にはコレステロール値を下げる効果があるため、それが一因とされてきた。

 ところが、今回の研究で、血管を柔らかくするなど、従来にない新しい健康効果があることがわかった。

 心臓病の一因となる動脈硬化は、「血液がドロドロ」になるだけでなく、血管の内壁に血球などが付着して、血管が細くなったり、血管自体が硬くなってしまうことが原因。

 今回の研究から、くるみには、「血液をサラサラ」にするだけでなく、血管の弾力性を増し、血球などを血管に付着させにくくすることがわかり、三つの側面から動脈硬化を防ぐ可能性があると明らかになった。

 脂質には、幾つかの種類がある。

 たとえば、オリーブオイルなどに含まれるオレイン酸の「一価不飽和脂肪酸」、魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)に代表される「n-3系脂肪酸」などだ。

 「n-3系脂肪酸」は、血液をサラサラにして、動脈硬化を予防すると考えられている。くるみには、「n-3系脂肪酸」の一種であるαリノレン酸が多い。

 その上、くるみには、抗酸化物質のビタミンEも豊富だ。

 今回の実験に参加したのは、血中のコレステロール値が高い21人の高脂血症の男女。心臓病などにはかかっていない。

 オリーブオイルなどに含まれる脂質「一価不飽和脂肪酸」の約3割をくるみのαリノレン酸に置き換えた「くるみ食」を1カ月食べ、通常の地中海食を1カ月食べた。

 くるみ食では、くるみを料理に使ったり、デザートやスナックなどにして、1日8〜13個食べた。なお、脂質全体のカロリーは、くるみ食と地中海食でほぼ同様にした。

 参加者はくじびきで2グループに分けた。

 くるみ食を最初に1カ月とり、その後地中海食を1カ月とるグループ。もう一つは逆に、地中海食を先に、くるみ食を次にとった。

 地中海食、くるみ食をそれぞれ終了した直後に血中の脂質や、血管の弾力性、血球などが血管にどれだけ付着しやすいかなどを検査した。

 実験を完了した18人のデータを分析したところ、くるみ食は地中海食と比べて、血管の弾力性(EDV)が高くなった。

 また、血球などが血管にどれだけ付着しやすいかを示す指標(VCAM-1)が低くなった。

 つまり、くるみ食を食べていると、地中海食より血管が柔らかくなり、血球などが血管に付着しにくくなったわけだ。

 また、これまでにも報告されている通り、総コレステロール、LDLコレステロールも低くなった。

 くるみは動脈硬化予防にいいナッツということがわかったが、とはいえ、1個27kcalとカロリーが低いとはいえない。10個食べると270kcalになってしまうので、食べ過ぎに注意が必要だ。
 
 なお、この論文のタイトルは、「A Walnut Diet Improves Endothelial Function in Hypercholesterolemic Subjects」。アブストラクトはこちらまで。
(白澤淳子)

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