2004.04.15

受動喫煙でリンパ球が増加、慢性的な炎症状態が心血管疾患の引き金に

 健康な日本人男性670人による調査の結果、受動喫煙の被害を受けている場合には白血球数やリンパ球数が増えることが明らかになった。白血球数の増加は動脈硬化の独立なリスク要因であることが報告されており、喫煙による冠状動脈疾患リスク増大をもたらしている可能性がある。筑波大学社会医学系助教授の谷川武氏らの研究で、研究結果は、米医師会雑誌Journal of American Medical Association(JAMA)2004年4月14日号にResearch Letterとして掲載された。

 谷川氏らは、1997年に発電所勤務の健康な男性従業員670人を対象とした断面調査を実施した。文書による同意を得たのち、喫煙状況などの聞き取りと血液検査を行った。対象者を喫煙者(363人)、禁煙者(154人)、非喫煙者(153人)に分け、T細胞、B細胞、NK細胞などのリンパ球数と白血球数などを測定して検査結果を比較した。

 禁煙者と非喫煙者については、職場か家庭ですぐ近くにヘビースモーカーがいると答えた118人を受動喫煙あり、他の35人を受動喫煙なしとみなした。

 その結果、受動喫煙ありの非喫煙者では、受動喫煙がない非喫煙者と比較すると、白血球数が1.1倍、リンパ球総数が1.3倍だった。年齢、BMI、飲酒量、運動量で調整した場合、T細胞、総リンパ球数、白血球数では有意(P<0.05)差がみられた。

 喫煙者では、受動喫煙なしの非喫煙者に比べ、白血球数が1.2倍、リンパ球総数は1.7倍とさらに大きな差があり、年齢、BMI、飲酒量、運動量で調整調整しても、すべての測定項目で有意(P<0.001)な差がみられた。

 谷川氏らは受動喫煙による免疫系への影響が血管損傷を引き起こし、冠状動脈疾患リスクを増大している可能性があると指摘している。非喫煙者とは異なり、禁煙者では受動喫煙の有無で各種のリンパ球数に有意差がみられない。非喫煙者に比べて受動喫煙の影響を受けにくいように見える。逆に言えば、子供や喫煙をしたことがない成人は、喫煙者や禁煙者に比べて受動喫煙の被害をより受けやすいと考えることができそうだ。

 本論文の原題は、「Lymphocyte Subpopulations Among Passive Smokers」。アブストラクトは公開されていない。(中沢真也)

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