2004.04.14

日本循環器学会、公用語の英語化で意見が割れる 半数近くが「日本語セッションの割合をもっと増やすべき」を支持

 国内最大級の会員を抱える医学会・日本循環器学会は、学術集会で行われる演題の大半を、ディスカッションも含めて英語で進行するように求めている。この「公用語英語化」は、学会の国際化を狙って、2001年の京都大会から始まり、年々、英語演題の割合は増えている。ところが、英語の演題では議論が盛り上がらないなど不満の声も上がっていた(日経メディカル2003年6月号、トレンドビュー「公用語英語化に不協和音」参照)。こうした現状を受けて、日本循環器学会は今年2月、全国の循環器専門医2000人を対象に、英語と日本語の演題のバランスを問うアンケートを送付、772人から回答を得た。その結果、「日本語セッションの割合をもっと増やすべき」を支持した人は45%で、「最近の英語・日本語のセッションの並立傾向を持続すべき」(47%)と拮抗していた。「英語セッションの割合をもっと増やすべき」は8%と少数派だった(図)。

 この調査結果は、3月27日に東京で開催された日本循環器学会評議員会で報告された。

「英語セッションの割合を増やすべき」と答えた専門医は8%

 アンケートの目的は、現在の学術集会で行われている「日本語セッション」と「英語セッション」の演題数のバランスについて、専門医の意見を集め、今後の学会運営に反映させることにある。

 日本循環器学会の学術集会運営委員会は今年2月、全国の循環器専門医の中から無作為抽出された2000人を対象に電子メールを使って実施した。実施期間は2月12日から19日までで、772人の回答があった。

 設問は4項目で、学術集会への参加状況、日本語セッションと英語セッションとの割合の方向性などについて意見を求めた。

 アンケートの結果、ほぼ9割の専門医は学術集会に「必ず参加している」「ほとんどは参加している」と回答した。さらに、年次学術集会に参加した際に、聴講する演題のタイプを聞いたところ、「発表言語に関係なく、興味のある分野のセッションに参加している」と回答した人が71%で最も多かった。

 しかし、「英語セッションを中心に参加している」と回答した人が3%に過ぎなかったのに対して、「英語が不得意なので日本語セッションを中心に参加している」と回答した専門医が26%にも上っており、英語セッションを避ける専門医が少なくない現状も浮かび上がった。

 日本語セッションと英語セッションの割合の方向性については、「英語セッションの割合を増やすべき」と答えた専門医は8%だけだったのに対して、45%の専門医は「現在よりも日本語セッションの割合を増やすべき」と答えた。

 一方、47%の専門医は現状継続が望ましいとしていたが、その理由を見ると、「すべてを英語にしても語学力が追いつかない」「英語の一般演題の討論は座長の判断で日本語で行うべき」などがあり、英語セッションの増加には消極的な意見が少なくなかった。

方針の決定には大いなる議論が必須

 同調査では「アンケートのまとめ」の中で、「英語セッションをさらに増やすべきであるという意見はごく少数である」と指摘した。さらに、多くの専門医が日本語セッションの重要性を感じている現状を踏まえ、日本語セッションの編成を工夫する必要があるとした。また、「ディスカッションの部分は座長の判断で日本語で進行しても良いのではないか」などの声が多かったことから、今後、学術集会運営委員会などでの議論が必要だと結論付けた。

 学会評議員である岩手医大第二内科教授の平盛勝彦氏は、「学会に参加した医師からは、『英語セッションの討論内容の貧弱さに呆れた』『英語の練習にはなるが、日本循環器学会での討論があのようなレベルではダメだ』などの声が聞かれた。社会に開かれた場で、今後のあり方を十分に議論することが必要だ」と強調している。
(星良孝、日経メディカル

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