2004.04.02

血圧対策のトクホ3商品の効き目は、 医薬品の30〜100分の1と低め−−ACE阻害活性から分析

 機能性食品の“効き目”は一般に、医薬品より弱いとされる。では、実際にはどの程度の穏やかさなのか−−。

 その疑問に答える研究の一つが、日本薬学会で3月30日に発表された。

 研究を行ったのは、福島県立医科大学附属病院薬剤部と、帝京大学薬学部の共同研究グループ。

「トクホ(特定保健用食品)の中には、医薬品と同じ作用機序を持つものがある。そうした食品から“関与する成分”を抽出し、医薬品成分と比較した」。

 研究を発表した帝京大学薬学部の白岩智子氏(写真左)はこう話す。

 白岩氏らが選んだのは、「血圧が高めの人」向けのトクホ。

 含まれているペプチド成分が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することで、血圧の上昇を抑えることがヒト試験で確認されている。

 同じ作用機序を持つ医薬品の降圧薬は「ACE阻害薬」と呼ばれ、多くの高血圧患者に処方されている。

 白岩氏らは、「血圧が高めの人」向けトクホ5商品の中から、店頭や通信販売などで入手しやすい3商品を選定。製品から糖質やたんぱく質などを除去し、血圧を下げる作用を持つペプチドだけを抽出した。

 一方、比較対照の医薬品として3成分を選び、うち、プロドラッグ(体内で代謝されてから作用を及ぼすタイプの薬)には、前処理を施してACE阻害活性物質へと変換した。

 対象としたトクホは、次の3商品。
・カルピスの「アミールS カロリーオフ」
・常盤薬品工業の「ラピスサポートα」
・日本サプリメントの「ペプチドスープEX」
 いずれも飲料タイプのトクホだ。

 一方の医薬品の降圧薬は、次の3成分を対象とした。
・リシノプリル二水和物(商品名:ロンゲス、ゼストリルなど)
・マレイン酸エナラプリル(商品名:レニベースなど)
・塩酸ベナゼプリル(商品名:チバセンなど)

 研究グループはまず、試験管内実験で、ACE活性を50%阻害する濃度(阻害濃度=IC50)を測定した。

 結果は、「アミールS」が235nM、「ラピスサポートα」が140nM、「ペプチドスープEX」が100nM。一方の医薬品のIC50は、リシノプリルが3.5nM、エナラプリルがエナラプリラートとして2.2nM、ベナゼプリルがベナゼプリラートとして1.9nMになった。このことから、トクホ3品目は医薬品より、ACE阻害に必要なモル濃度が大幅に高いことがわかった。

 医薬品で最も阻害活性が低いリシノプリルと、食品で最も高い「ペプチドスープEX」とを比べても、約30倍の違いがあった。

 次に白岩氏らは、トクホと医薬品を「1日の摂取目安量(1日量)」だけ飲んだ場合、ACE阻害活性がどの程度になるかを計算した。

 すると、トクホのACE阻害活性は、製品によって差があるが、医薬品の100〜1000分の1と、極めて弱いことがわかった。

 研究を指導した帝京大学薬学部医療薬学2講座の渡邊真知子助教授(写真右)は、「医療現場では、医薬品と同じ作用を持つトクホを飲んでも大丈夫か、医薬品と併用した場合にどうなるかなど、薬剤師を悩ます質問が多い。今回得られた結果は、そうした情報ニーズに答えるものになる」と話す。

 ただし、今回の研究は、あくまで試験管内実験に基づく分析によるもの。実際に飲用・服用した場合の吸収率などは考慮されていない。

 同じ作用を持つ医薬品と食品を併用した場合に、効果が足し合わせられるのか、打消し合うのかなどはまだ不明だ。

 この点に対して渡邊氏は、「現在、実際に摂取したときの吸収率などを求め、ACE阻害活性を調べる動物実験を進めている」と述べた。(内山郁子)

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