2004.04.02

乳酸菌の経口摂取で、免疫バランスが改善 カルピス、キリン、雪印、明治乳、ヤクルトが発表−−日本農芸化学会で

 広島で開かれた日本農芸化学会大会(2004年3月29〜31日)で、免疫のTh1/Th2バランスが崩れてTh2優位になっているアレルギー状態が、乳酸菌の経口摂取で改善するという研究成果が相次ぎ発表された。

  カルピス、キリン、雪印乳業、明治乳業、ヤクルト本社が自社の乳酸菌株について、アレルギー対策機能の研究で成果を挙げていることが明らかになった。

 キリンビール基盤研究所は、アトピー性皮膚炎と類似の症状を発症する動物モデル(マウス)にKW乳酸菌(Lactobacillus paracasei KW3110株)を投与すると、皮膚のただれや出血の出現が抑制されるとともに、アレルギーの指標となる血中IgE濃度が3分の1に低下することを確認した。

 同社は2003年10月の日本アレルギー学会で、花粉症の患者を対象とした試験でアレルギー改善作用を確認したことを発表した(関連トピックス)。

 これに続き今回は、動物モデルでアトピー改善効果を確認した。

 カルピス技術研究所は、東京大学大学院農学系研究科と日本大学生物資源科学部との共同研究により、乳酸菌L-92株(Lactobacillus acidophilus L-92株)が、IL-12産生を誘導してTh1分化を促進することを確認した。

 アレルギーモデルマウス(OVA特異的T細胞レセプター・トランスジェニックマウス)の脾臓(ひぞう)由来のCD4陽性T細胞を、L-92株と共培養すると、Th1サイトカインであるIFNγの産生が促進し、Th2サイトカインであるIL-4産生が抑制された。

 この系に抗IL-12中和抗体を添加すると、IFNγ産生は抑制された。

 同社は先に、L-92株が花粉症や通年性アレルギー鼻炎に効果があるとするヒト試験の成果を2003年3月の日本農芸化学会や2003年7月の日本乳酸菌学会で発表済み。今回はマウスの実験で、メカニズムの解明を進めた成果を発表した。

 雪印乳業技術研究所は、健常成人の腸内フローラ(腸内細菌そう)に由来する定住菌であるガセリ菌SP株(Lactobacillus gasseri SP株)が、マクロファージ由来のIL-12の産生を増加させ、リンパ球のIFNγを誘導することで、免疫系に関与することを見いだした。

 このガセリ菌SP株は、日本ミルクコミュニティが各種のヨーグルト商品に使用している。同社が2004年2月に季節限定で発売した「バラ科の甜茶のむヨーグルト」にも配合されている。

 明治乳業食品機能研究所は、東北大学大学院農学系との共同研究により、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1株)が産生する酸性多糖体が、in vitroでマウス脾臓細胞のIFNγ産生を誘導し、経口投与でも脾臓細胞のNK活性を増加させることを確認した。

 ヤクルト本社のヤクルト中央研究所は、ヤクルト菌(Lactobacillus casei シロタ株)が、健常者単球のIL-12産生を介してT細胞からのIFNγ産生を誘導することを確認した。

 なお、花粉症を緩和する効果が高い乳酸菌の開発をめぐる、カルピスVS.キリンビールの競合状況は、3月17日発行の「日経ヘルス 特別編集版」の特集「花粉症対策の食品とサプリ」P.6〜7で解説している。また、農芸化学会で発表した雪印乳業の研究成果は同じくP.10で紹介している。
(河田孝雄)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.10.17 花粉症に効くヨーグルトや乳酸菌飲料が続々登場か
キリンやカルピスがヒトで効果を検証、学会で発表へ

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