2004.03.31

バルサルタンはPCI後の再狭窄を抑制−前向き無作為比較試験の成績から

 冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)の有用性は様々な試験によってエビデンスが確立されているが、再狭窄に関しては議論の分かれるところである。ACE阻害薬、抗血小板薬、スタチンなどによる再狭窄予防試験が行われているが、明確なエビデンスは存在しない。近年、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が登場し、降圧以外の様々な臓器保護作用が注目されているが、再狭窄予防効果に関しては、Val-PRESTの成績のみである。今学会で、東京慈恵会医科大学の永澤英孝氏(写真)らは、ARBによる再狭窄予防に関する前向き無作為比較試験を行い、バルサルタンによって再狭窄が有意に抑制されることを報告した。

 対象はPCIが成功した連続した145例164病変(除外例:25症例26病変)である。患者はPCI後、無作為にバルサルタン80mg/日投与群(V:n=65例)およびコントロール群(C:n=73例)に割り付けられ、PCI前後、および約6カ月後のQCA所見にて評価された。再狭窄はQCAにて50%以上の狭窄を認めた場合とした。

 その結果、バルサルタンの投与によって有意に再狭窄率が抑制され(V:29.2% vs C:46.6% 、p≦0.05)、相対危険度も0.649と減少した。Loss Indexは有意ではないがバルサルタン投与群で減少傾向を示した。しかし、6カ月後の主治医の判断による再血行再建術施行(TLR)に関しては、両群間で有意差は認められなかった。永澤氏らはAMI患者においてサブ解析を行っているが、バルサルタンによって再狭窄率がより抑制(V:8.3%、C:46.4、p≦0.05)されること、TLRの減少傾向を示している。しかし、AMI症例と狭心症症例の比較では、AMI症例において有意なTLRの減少を認めている(p≦0.05)。

 以上の結果より永澤氏は、再狭窄を有意に抑制したことはバルサルタンの血管リモデリング抑制効果を示唆するものであるとした。また、AMI症例においてより強力な抑制効果が示されたことから、再狭窄の発生機序には多様性があり、病態によって再狭窄予防に対する薬剤の選択も考慮する必要があることを訴えた。

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