2004.03.30

J-CAD:最新中間報告が発表 日本人に多いと言われてきた「脳イベント」は11.5%にすぎず

 29日の一般口述セッション「予防・疫学・教育」において東京大学医学部薬剤疫学講座の林同文氏は、J-CAD(Japanese Coronary Artery Disease)研究の中間解析の結果を報告した。

 今回報告されたのは、2003年9月30日時点のデータをもとに行われた中間解析だ。

 J-CAD研究は、日本における虚血性心疾患を登録したプロスペクティブなコホート研究で、2000年4月より開始された。全国の地域中核医療機関200施設以上が参加している。

 登録対象となるのは、75%以上の有意狭窄を有する虚血性心疾患例で、2003年9月の時点で1万5506例が登録されている。

 これら1万5506例の登録時患者背景を見ると、高脂血症は54%、高血圧57.4%、耐糖能異常が40.2%に認められ、全体の15.8%がこれら3疾患を併発していた。

 まず危険因子の推移を見ると、高脂血症例の総コレステロール、LDLコレステロール濃度は2000年に比べ改善されてきており、高血圧例の収縮期血圧も同様だった。

 一方、高脂血症例のトリグリセライドとHDLコレステロール、耐糖能異常例の空腹時血糖値などは、2000年時と大きな変化はなかった。

 次に、脳心血管系イベント発生率だが、平均追跡期間559日で6.6%、とかなり高い。またイベントの内訳を見ると、日本人に多いと言われてきた「脳イベント」は11.5%にすぎず、不安低挟心症(48%)、急性心筋梗塞(14%)といった虚血性心イベントの割合が多かった。

 そこで虚血性心イベント(含、心臓突然死)の再発率をみると、およそ50例/例・年程度となっていた。わが国の虚血性心イベント発生率は低いと言われているが、J-CADの対象となるような重症例ではそれほど低くはないということになる。

 また、興味深いのは「危険因子の重積」についてだ。危険因子を「高脂血症」、「高血圧」、「耐糖能異常」、「喫煙」とすると、現在のところJ-CAD研究では、これらの集積によるイベント発生率の増加は認められていない。

 J-CAD研究における脳心血管イベント発生(再発)と患者背景・治療薬の関係も検討予定だが、現在は交絡因子が調整できていないので飽くまで参考程度の結果しか得られていない。

 しかしこの時点でも、「高血圧」、「耐糖能異常」、「うっ血性心不全」、「病変枝数」がリスクであるのはほぼ間違いなく、一方、「高脂血症」は最終的な解析が終了するまで明らかではないと林氏は述べた。

 本研究は本年9月に登録を終了し、2005年4月に最終結果が報告される予定となっている。
(宇津貴史、医学レポーター)

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