2004.03.30

救急隊による除細動でも患者接触から6〜8分、大阪での実績報告

 大阪府は全国でも早くから救命救急活動に熱心で、日本では最先進地域と言ってよい。それでも119番通報で救急隊が駆け付け、隊員が患者に接触してから除細動が実施されるまでに、中央値で6〜8分もかかっていた。心停止で昏倒してから除細動までの時間は実に14〜18分間にもなる。報告は2003年4月に救急救命士に包括的指示による除細動が認められる前のものであり、救急隊や医師の努力で年々時間が短縮しているとはいえ、日本の救命救急活動の水準がまだ努力の余地があることを物語っている。27日午後の一般口演「Emergency Care」セッションで大阪府三島救命救急センター救急科の森田大氏(写真)が報告した。

 森田氏らの研究グループは、1998年5月から2001年4月までの3年間に大阪府内で発生した病院外心停止事例を前向き調査とした。大阪府内の全36消防本部に119番通報があり、救急隊が蘇生した後、救急医療機関に搬送した事例のうち、倒れるところを市民が目撃した心原性(推定)の心室細動例492例を対象とした。

 院外心停止例は大阪府の場合、年間で4800〜5000例発生しており、このうち、昏倒時に市民に目撃された事例、いわゆるバイスタンダーがいる例が2955例あった。このうち除細動の適応になる心室細動症例は492例だった。

 心停止があった場所は家が68%と最も多く、道路を含む公共の場所が15%、老人ホームが5%でそれに次ぐ。医院内の事例も2%あった。ただし、家では心室細動例は10%と少ないのに対し、屋外では心室細動例が3分の1以上を占めるという。

 1998〜1999年には、163例の該当事例があった。同年には通報から救急隊が現場に到着して患者に接触するまでは中央値で6分間と早いのにもかかわらず、接触から除細動までに8分間を要していた。心停止による昏倒から除細動までに要した時間の中央値は実に18分間にもなる。34.1%の事例でバイスタンダーによる心肺蘇生が施されており、1年生存率は7.3%だった。

 その後、年を追って改善が見られ、1999〜2000年には接触から除細動まで7分間、2000〜2001年には6分間に短縮された。これに伴って予後も改善し、1年生存率はそれぞれ、9.0%、13.7%と向上している。

 森田氏は、「包括的指示による除細動の導入によって、除細動までの時間短縮がどれだけ可能になるか、成果が期待される」としている。本年度には、一定の講習を受けた市民に対する除細動の限定的解禁が予定されており、これらの措置によってどれだけ救命率が向上するか、今後さらに関心が高まりそうだ。(中沢真也)

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