2004.03.29

腎機能低下例に対するPCIは心不全既往に注意しCigarroa quotientを5未満に

 3月28日のポスターセッションにおいて倉敷中央病院循環器内科の廣野明寿氏は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による腎障害の実態とリスクを報告した。

 廣野氏らは2001年1月〜2003年2月に待機的PCIを施行された腎機能低下例から、定期的血液透析施行例を除いた258例(平均74歳、28%が80歳以上)を対象に、造影剤誘発性腎障害(RCIN)の発生頻度とリスクファクターを検討した。

 腎機能低下は、血清クレアチニン(Cr)濃度「男性≧1.3mg/dL」、「女性≧1.0mg/dL」とし、血清クレアチニンが25%以上上昇した場合、RCINと定義した。

 PCI標的病変数の平均は1.8、造影剤の平均投与量は199mL、平均Cigarroaquotient(造影剤量 mL]×血清Cr濃度 mg/dL] / 体重 kg])は5.1だった。また、38/0%はPCI前3日以内に冠動脈造影(CAG)を施行、PCI前日にPCIを施行されたのは28.3%だった。

 PCI施行後、平均117日間の追跡期間中、24例(9.3%)でRCINが認められた。1例でPCI施行2日後に血液透析が必要となったが、慢性透析導入例や死亡例はなかった。また、23例では観察期間後、血清Cr濃度の上昇は25%未満まで回復した。

 RCIN発生群と非発生群の背景因子を比較すると、RCIN群ではうっ血性心不全既往が有意に多く(50.0% vs 22.2%、p=0.0027)、また造影剤平均投与量と平均Cigarroa quotientが有意に高かった(順に、279±147 mL vs191±111mL、p=0.0004。7.4±4.0 vs 4.8±2.8、p<0.0001)。

 そこで、多重ロジスティック回帰モデルを用いてRCINのリスクファクターを求めると、「うっ血性心不全既往」(オッズ比:3.28、95%信頼区間:1.28〜8.40)と「Cigarroa quotient5以上」(オッズ比:3.12、95%信頼区間1.22〜8.01)が有意なリスクファクターだった。

 腎機能が心血管系イベントのリスクファクターとして認識されつつあるため、長期的な心保護を考えるにあたり、重要なデータであると思われる。
(宇津貴史、医学レポーター)

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