2004.03.29

【日本循環器学会速報】 2002年度改定で導入された施設基準 内科系学会評議員アンケートで、評価が大きく分かれる

 27日午後、循環器関連健保対策委員会主催によるセッション「施設基準はどうあるべきか−循環器診療の質を担保するシステムを考える−」が開催された。冒頭、帝京大学の一色高明氏(写真)が「診療報酬上の施設基準に対する関連4学会アンケート調査から」と題して、2002年度診療報酬点数改定を医療現場がどのように受け止めていたかを報告した。

 アンケートの対象は、日本循環器学会、日本心血管インターベンション学会、日本心臓学会、日本冠疾患学会の4学会で、内科系評議員419人(学会間の重複は除く)。無記名方式で回答を求めた。回収数は219人、回収率52%。

 調査項目は、1.PCI施行時の本数制限、2.同一病変に対するPCIの施行回数制限、3.心血管造影検査・PCI施行時のシネフィルム算定不可、4.PCI・冠動脈バイパス術などに設定された施設基準の4項目。発表では最後の項目について報告された。


 回答者の勤務先は、大学病院・特定機能病院40%、500床以上の一般総合病院30%、200-499床の一般病院24%、200床未満の一般病院5%、有床診療所1%(図1)。



 年間PCIの施行件数は、「200-299」がもっとも多く26%、これに「100-199」23%、「300-499」 22%と続く。「500以上」は14%だったが、「50-99」も11%あった。「0-49」は4%で、わが国のPCI症例の15%は、年間100例未満の施設で行われていることが明らかになった(図2)。



 また、PCI施設基準の治療方針に及ぼす影響を尋ねたところ、「変わらない」が88%で、「大きく変わった」は1%、「少し変わった」も11%と少数だった(回答数216、図3)。



 「大きく変わった」あるいは「少し変わった」と回答した人にその内容を尋ねると、「PCI症例が増えた」が75%あり、以前からあった「施設基準導入が過剰なPCIを招く原因となる」との指摘が懸念される結果だった(回答数24、図4)。逆に「減った」は8%、「その他」が17%だった。



 調査では「PCI施設基準設定は妥当か」とも尋ねたが、「妥当」は30%、一方の「不当」は39%で、評価は分かれる結果となった。不明は31%(回答数188、図5)。

 「妥当」と回答した人の意見には、「PCIの成績は施行数と相関する」「ある程度の症例数は術者の経験・技術維持に必要」などがあった。一方「不当」と回答した人の意見には、「地域性を考慮していない」「基準設定の根拠が不明瞭である」「治療方針に対する医師の裁量権を侵害する」「患者が等しく医療を受ける権利を侵害する」「施設基準を件数で評価すべきではない」「医療費抑制の手段に用いるべきでない」「過剰なPCIを招く原因となる」などが寄せられたという。

 2002年度に診療報酬点数改定では、循環器領域においては心臓外科手術や経皮的冠インターベンション(PCI)関連分野を中心に以下のような介入が行われた。これに対して医療側からは、その根拠が明らかでなく、医療現場の実際の状況を反映していないことを危惧する声が上がった。

2002年度改定時の施設基準
○ 冠動脈、大動脈バイパス移植術および対外循環を要する手術
・年間合計100例以上
・心臓血管外科常勤医3人以上
○ 経皮的冠動脈形成術、経皮的冠動脈血栓切除術、経皮的冠動脈ステント留置術
・年間合計100例以上
・PCI経験5年以上の常勤医2人以上

 ただし、手術の施設基準は2004年度改定により、1.10年以上の経験医師の常勤、2.1年間症例数の院内掲示、3.書面によるインフォームドコンセントのない場合は30%の減算。これらの条件とともに、症例数100例以上を満たしている施設は5%加算となった。

 前回の2002年度診療報酬改定は、−2.7%という大幅なマイナス改定だっただけでなく、手術の施設基準が導入されるという医療技術そのものに介入が行われるなど、医療現場に衝撃が走ったのは記憶に新しい。結局、半年後に基準が緩和され、行政の朝令暮改的な政策に批判が集まったのも無理はなかった。だがすべてが無駄だったわけではない。こうした混乱を背景に、2003年に循環器関連健保対策委員会(35学会参加)が発足。今学会ではその委員会主催によるセッション「施設基準はどうあるべきか−循環器診療の質を担保するシステムを考える−」が開催された。医療費と医療評価に耳目が集まる契機となったことは、「確かな一歩」に違いない。(三和護)

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