2004.03.28

バルサルタンは自律神経改善を通して左室肥大を抑制

 自律神経の不安定性は左室肥大を増大させるといわれている。榛原総合病院の新井氏(写真)らは、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるバルサルタンによって自律神経不安定性を改善させることによって左室肥大の進展が抑制される可能性について報告した。27日のポスターセッションで発表した。

 未治療高血圧患者13例にバルサルタン80〜160mg/日投与し、血圧、LVMI(左室心筋重量係数)、僧帽弁血流速度(E波、A波、E/A比)、交感神経緊張度(H/M、WR)、自律神経安定度(LF/HF比、低周波成分:LF、高周波成分:HF)の変化を11カ月観察した。

 バルサルタンの投与により、血圧の有意な改善(p=0.0001)が得られるとともに、LVMIの有意な改善が認められた(p=0.002)。また、僧帽弁血流速度は、E波、A波ともに流速が増大し、特にE波の有意な流速増大(p=0.048)は左室拡張能の改善を示唆する。また、MIBGによる交感神経の緊張度の検討では、心縦隔比の変化は認められず、WR が有意に低下していることから過緊張状態であったことが示唆される。さらにLFが有意に増大しており、自律神経の不安定性が伺われた。

 バルサルタンの投与により血圧低下、心電図上の左室肥大の低下、左室容量低下、左室拡張能の改善、交感神経過緊張の軽減、心拍変動の改善がもたらされた。新井氏は、左室容量の低下と拡張能の改善が心拍変動と交感神経の過緊張を改善していると推察する。よって、バルサルタンは交感神経不安定の改善、左室機能の改善を通して左室肥大を抑制していると考えることができると述べた。

 さらに、新井氏は、臨床的にはバルサルタンと自律神経過緊張状態がどのように関連するかは明らかではないが、この試験の結果からは、バルサルタンは心機能の増悪を抑制する作用を有していると考えられると結んだ。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. レセプト査定される糖尿病処方、教えます 岩岡秀明の「糖尿病診療のここが知りたい!」 FBシェア数:162
  2. 病像の変化で糖尿病腎症から糖尿病性腎臓病に 特集◎生活習慣病 7つの新常識《5》 FBシェア数:177
  3. 五輪でドーピング…主訴「薬を盛られた?」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:24
  4. 刃物を持ってくる患者の「予兆」を見逃さないで 院内暴力・セクハラSOS FBシェア数:119
  5. 外科医の寿命を延ばすロボット手術が保険適用に 中山祐次郎の「切って縫うニュース」 FBシェア数:166
  6. いつから、何を使って、どれくらい勉強する? 総合内科専門医試験 「一発合格」への道 FBシェア数:72
  7. 一過性の意識消失で救急搬送された80歳代女性 カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:0
  8. 肝臓癌で余命半年と宣告された認知症患者 短期集中連載◎重度の認知症患者を診るということ(3) FBシェア数:36
  9. 血糖管理は点から線へ、FGMで変動を調べよ 特集◎生活習慣病 7つの新常識《6》 FBシェア数:36
  10. 主な癌の5年生存率を国際比較 Lancet誌から FBシェア数:28
医師と医学研究者におすすめの英文校正