2004.03.28

ACE阻害薬で冠動脈疾患例を降圧するとJカーブが現れる?

 3月27日のポスターセッションにおいて、京都大学循環器内科の由井芳樹氏は、わが国で行われたJMIC-Bのサブ解析を報告した。

 冠動脈疾患合併高血圧例に対するCa拮抗薬とACE阻害薬の有用性を比較したJMIC-Bだが、ACE阻害薬群では収縮期血圧と心事故発生率の間に、一見するとJカーブ(一定以上の降圧によりイベントが増加する現象)が現れるという結果に、多くの参加者が集まった。

 JMIC-Bは、冠動脈疾患合併の高血圧患例においてCa拮抗薬の心事故抑制作用がACE阻害薬と同等だと明らかにした無作為化試験(Hypertens Res 2004; 27:181)だが、今回は到達血圧と心事故発生率の関係が検討された。

 まず拡張期血圧と心事故発生率だが、Jカーブは認められなかった。しかし収縮期血圧では、130mmHg未満まで降圧できた群では「140mmHg以上150mmHg未満」の群に比べ心事故が有意に増加していた。そこで収縮期血圧と心事故発生率の関係を薬剤別に見ると、Ca拮抗薬服用例ではJカーブは「130mmHg未満群」における心事故の有意な増加は認められなかったが、ACE阻害薬服用例では有意な増加を認めた。

 従来、心事故におけるJカーブ現象は、主として拡張期血圧との関係で指摘されてきた。しかし本検討では拡張期ではなく、収縮期血圧と心事故の関係でJカーブが認められている。何故、このような結果となったのか。座長である国立循環器病センター内科高血圧腎臓部門の河野雄平氏が質問した。

 これに対し「薬剤の特性の違いが出たと考えられます」と由井氏は答えた。

 「本試験の『心事故』には胸痛が含まれているので、抗狭心症薬でないACE阻害薬では胸痛出現が増加したのでしょう」。

 これを受けて自治医科大学循環器内科の刈尾七臣氏が、胸痛を除外すれば血圧は低いほどベントが減少していたか質問した。「そうなると思う」が由井氏の答えだった。

 JMIC-BにおけるCa拮抗薬群は828例、ACE阻害薬群822例だが、降圧薬によりJカーブ出現の有無が異なるかを検討するには、「もう一桁多い症例数が必要」(由井氏)だということだ。
(宇津貴史、医学レポーター)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. Q.創閉鎖前のポビドンヨード洗浄は有効? シリーズ◎その手術部位感染対策、合っていますか?(3) FBシェア数:171
  2. CT読影は臓器の連続性を意識する! 画像診断大国の若手医師へ FBシェア数:64
  3. ガイドラインを引用する訴訟が急増しています 特集◎医療訴訟の落とし穴《インタビュー》 FBシェア数:5
  4. 「医師の言動でPTSD」認めず病院側が逆転勝訴 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:1
  5. 当直が大人気、相澤病院の働き方改革とは 日本病院会会長の相澤孝夫氏に聞く FBシェア数:1059
  6. 「説明を尽くしたのに敗訴」のなぜ 特集◎医療訴訟の落とし穴《動向編》 FBシェア数:496
  7. 気づけば増えた血糖降下薬、どう減らす? シリーズ◎岩岡秀明の糖尿病よろず相談所【藤沼康樹編】 FBシェア数:143
  8. その欲望は、本当に君自身のもの? 鈴木裕介の「キャリア迷子」に捧げる処方箋 FBシェア数:12
  9. かんしゃくを起こす子にはジャンケンが有効 泣かせない小児診療ABC FBシェア数:110
  10. Q.抗菌縫合糸の使用はSSI発生率を下げる? シリーズ◎その手術部位感染対策、合っていますか?(1) FBシェア数:127