2004.03.26

米国栄養評議会(CRN)による、ビタミンとミネラルの安全摂取量に関する最新報告

 以下に、米国Council for Responsible Nutrition(略称:CRN、米国栄養評議会)副会長で科学・国際問題担当のJohn Hathcock博士が、2004年3月23日に都内で開かれた講演会「サプリメント最前線 ビタミン・ミネラルの利用と安全性」で具体的に言及した、ビタミンとミネラルの安全最大摂取量に関する五つの基準(米国FNB、欧州SCF、英国EVM、米国CRNの1997年版、米国CRNの2003年版)の相違点の典型例を示す。

 なお、カッコ内はHathcock博士のコメント。日本の設定量は日経BP社が追加した。

○葉酸:安全最大摂取量は一緒だが、偶然の結果

 安全最大摂取量1000μgと五つの数値(米国FNB、欧州連合SCF、英国EVM2003、米国CRN1997、米国CRN2003)は同一だが、「一致したのは偶然。導き出した方法論はまったく違う」。

 ちなみに日本(第6次栄養所要量)は1000μg。

○ビタミンB6:各国で、考え方や方法論が非常に異なる

 米国FNBの100mgと、米国CRN1997の200mgは、根拠となる論文・データは同じだが、不確定因子(UF)をFNBが2とみなした結果、2倍の違いになった。

 米国CRN2003で100mgになったのは、1997年以降の臨床報告で新データが出たため。

 150mg、200mgで有害という報告があり、B6が原因と考えうるという論文を取り入れた。

 欧州SCFの25mgは、FNBやCRNは信頼性が低いと却下したヒト・データを使った結果。

 英国EVMの10mgは、ヒトのデータはいずれも信頼性がないと却下し、動物の質のいいデータから外挿法でヒトに当てはめた。「この方法がいいやり方かどうかは疑問」。

 日本は100mg。

○βカロテン:非喫煙者のリスクをどうみるか、区分の有無でも違いあり。

 米国FNBは「not for smokers」。欧州SCFは喫煙者20mg、米国CRNは非喫煙者25mg、英国EVMは非喫煙者の25mgを3で割って丸めた7mgを喫煙・非喫煙の区別なく安全最大摂取量と設定した。

 日本はβカロチンとしては定めず。

○ニコチン酸  血管拡張作用による顔面紅潮は有害事象かどうかで安全最大摂取量に差

 米国CRNは血管拡張作用による顔面紅潮を有害事象とみなさず、肝毒性のデータをもとに500mgと決めた。ただし、スローリリースタイプ(遅効性)は肝毒性が出やすいので250mgにした(1997と2003でいずれも変更なし)。

 他の三の基準では、顔面紅潮を有害とみなした。

 安全摂取量は米国FNB35mg、欧州SCF10mg、そしてサプリメントとしての安全摂取量を定めた英国EVMは17mg。

 日本はナイアシンとして30mgを設定。

○亜鉛:総摂取量かサプリメント量かで、違い

 米国FNBと欧州SCFは総摂取量として、それぞれ40mg、25mgと設定。

 英国EVMと米国CRNはサプリメント量として、それぞれ25mg、30mg(1999と2003で同一)と設定。

 日本は30mg。

○クロム  ピコリン酸クロムを含むか否かで差

 ピコリン酸クロムを含まない英国EVMは10mg。

 ピコリン酸を含めてどんな塩も含めた米国CRNは1000μg(1997と2003は同じ)。

 米国FNBと欧州SCFは、UL値について毒性学的基礎データがないため、クロムの値を設定せず(上限値はなし)。

 日本は250μg。

○鉄:空腹時か満腹時かで差

 米国FNBは空腹時45mg、米国CRNは満腹時で65mg(1997)、60mg(2003)。

 英国EVMは循環器の発症率が高まったというデータを考慮して17mgという低い値に設定。

 欧州SCFは設定なし(上限値なし)。日本は40mg。

○モリブデン  各国で、大きな違い

 英国EVMはサプリメントを認めず、食事中に230μg入っているとみなしている。

 米国CRNは疫学的データをもとに350μgと設定(2003でサプリメント分のみ)。

 米国FNBは2000μg、欧州SCFは600μg。日本は250μg。            


(河田孝雄)

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