2004.03.25

ニコチンアミドに1型糖尿病の予防効果なし−−「ENDIT」試験結果がついに論文化

 ニコチンアミドの1型糖尿病発症予防効果を検証したプラセボ対照長期試験、「ENDIT」(European Nicotinamide Diabetes Intervention Trial)の最終結果が、Lancet誌3月20日号に掲載された。2002年9月の欧州糖尿病学会(EASD)における結果発表から、1年半を経ての論文化となった。

 結果は、残念ながらネガティブ。1型糖尿病発症ハイリスク者を5年間追跡したが、ニコチンアミド服用群、プラセボ群ともに、1型糖尿病の発症率は変わらなかった。

 ニコチンアミドは、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから少量が生合成される、ビタミンB群の一種。体内ではニコチン酸とニコチンアミドの両形態で存在し、併せてナイアシンと呼ばれる。膵臓保護作用を持つ酵素NADの補酵素として作用、動物実験や小規模なヒト介入試験で、1型糖尿病の予防効果が示されていた。

 「ENDIT」試験には、欧州18カ国とカナダ、米国の計20カ国から、1型糖尿病のハイリスク者552人が参加。無作為に2グループに分かれ、プラセボまたはニコチンアミドを連日服用した。

 同試験における「ハイリスク」の定義は、1親等の近親者に若年発症の1型糖尿病患者がおり、抗膵β細胞抗体(抗ICA抗体)が陽性、かつ糖尿病が未発症であること。ニコチンアミドの1日量は、体表面積1m2当たり1.2g(最大5g)とした。解析は、割付後に試験参加同意を撤回した二人と、割付薬服用開始前に糖尿病を発症した一人を除いた計549人を対象に行った。

 その結果、ニコチンアミド群(274人)の30%、プラセボ群(275人)の28%が、追跡期間内に糖尿病を発症。発症率に群間の差はみられないことがわかった。年齢や性別、試験開始時の耐糖能や、1型糖尿病関連抗体の陽性数(抗ICA抗体のみか、ほかの関連抗体も陽性か)など、糖尿病の発症率に影響を与えうる因子別での解析でも、両群にまったく差は認められなかった。

 1型糖尿病の予防研究では、インスリンを用いる「DPT-1」(Diabetes Prevention Trial)もネガティブな結果に終わっている。この「DPT-1」と「ENDIT」はいずれも、小規模なパイロット試験で得られた前向きな結果を踏まえて行われた大規模試験だった。研究グループは、両試験から得られた教訓として、「動物実験や小規模なパイロット試験は非常にミスリーディングなものとなり得る」と指摘、パイロット試験の規模やデザイン、解釈などについて、国際的なコンセンサスが必要だと強調している。

 この論文のタイトルは、「European Nicotinamide Diabetes Intervention Trial (ENDIT): a randomised controlled trial of intervention before the onset of type 1 diabetes」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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