2004.03.22

日本医療機能評価機構トップ人事(詳報)  坪井栄孝氏(日本医師会長)が4月1日に理事長に就任

 日本医療機能評価機構は、3月17日の理事会で、日本医師会長の坪井栄孝氏を次期理事長に選任した。これまで日本医師会は副理事長(糸氏栄吉氏・日本医師会副会長)と理事(坪井氏)のポストを持っていたが、今回、3月末で会長を退任する坪井氏が4月から同機構のトップ(理事長:非常勤)に就任することになる。

 同機構は、厚生労働省、日本医師会などが出資した病院機能を評価する第三者的機関。機能評価による病院認定が主な事業だが、医療情報サービス事業や認定病院患者安全推進事業も開始するなど、最近事業を拡大している。

 今回の人事に、一部からは「中立的イメージが大切な評価機構において、日本医師会の前会長が直ちに理事長に就くことは、国民の支持を受けられるか不安もある」との声もある。日本の医療の質の改善のため、同機構の役割はますます高まる可能性がある。今回のトップ人事に対する世論の反応と、坪井氏の理事長としての手腕が注目される。  

 3月17日の理事会は評議員会との並行開催(議案ごとに理事会議決事項を評議員会が承認するというように理事会、評議員会を交互に進める形)で開催された。審議が終了に近づき理事会の「その他」議案に入る前に、「評議員会は終了して評議員は退出。トイレ休憩後に理事会を再開」という提案がなされたが、「もう少しで終了なのだから閉会まで見たい」という評議員がいたため、評議員も陪席のまま議事が継続された。そこで、理事会議長(理事長の代理で議長役を務めた仲村英一副理事長)が、理事長の改選と坪井氏の理事長選任案を提案した。

 そのとき評議員の中島みち氏が発言を求めた。「医療機能評価機構は、医療機関を評価することに関して第三者でなければならない。坪井さんの貢献や力量とは別に、3月31日まで医療者を代表する日本医師会の会長である方が、4月1日から第三者機関の理事長になるというのでは国民の理解は得られない。日本医師会は隠れもなき、日本の医療において当事者中の当事者ではないか」。

 それに対して坪井氏は、「私がどこまでやれるか、しばらく見ていてください」と述べた。中島氏が「国民は待ってくれません」と切り返した。

 そこで、議長が理事会の議決に移り、「異議なし」の声で承認された。同機構事務局長の富樫雄一氏は「十分な議論をもって決定した」と言う。なお、副理事長の糸氏氏と仲村氏の退任と、高原亮治氏(元厚生労働省健康局長)の副理事長就任も決まった。また星北斗氏は評議員から理事となった。

 事前に理事に送付された議案書には理事長の選任の議案はなかった。「“その他”の項目で、議長提案で理事長選任案が動議された形」と富樫氏は説明する。富樫氏は「すべて規定上、適切に処理されたと理解している」と繰り返す。  

 同機構は、病院の経営を審査する際、「病院は組織規定に基づいて運営されている」という項目を持っており、理事会運営などでは病院に範を示す立場である。ある理事は「理事会の2、3日前に新理事長について急に説明を受けた」と言う。「理事メンバーの外で人事が決まっているのはいかがなものか」との声もある。組織の最高意思決定者を決めるのに、理事会の「その他」事項で「緊急動議」として処理するのが好ましいのか。事前送付議案書に「理事長の互選について」の項目を立てるべきだったのは言うまでもなかろう。

 3月17日の理事会・評議員会の後、同機構は記者会見を開いたが、新任理事長の選任に関しては言及しなかった。それは、なぜか。富樫氏は「人事については発令日(4月1日)の前日に開示するのが慣例だから」と言う。組織のトップ決定を直ちに説明しない理由としては説得力に欠けていないだろうか。
(埴岡健一、日経メディカル

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