2004.03.22

診療記録の改ざんで懲役1年執行猶予3年 東京女子医大・心研の医療事故で有罪判決

 東京女子医大の日本心臓血圧研究所で発生した医療事故で、診療記録の証拠隠滅罪に問われた瀬尾和宏医師の判決が本日、東京地裁であり、懲役1年執行猶予3年が言い渡された。

 この事件は2001年3月、平柳明香さん(当時12歳)の心房中隔欠損症の手術中で、人工心肺の操作ミスで脱血不良に陥り、脳循環不全から重篤な脳障害が生じ、同月5日に死亡した事件。

 当時、心研の循環器小児外科の講師を務めていた瀬尾医師が手術の責任者だった。人工心肺の操作を担当した佐藤一樹医師は、業務上過失致死罪に問われ、現在、公判中。

 瀬尾医師は、この事故を隠すため、1.ICU記録中の瞳孔の大きさについて、脳障害が発生したことを示す6、7mmから4mmに改ざん、2.人工心肺記録を新たに作成し、低体温療法に関する記載について、脳圧を下げたり脳浮腫の軽減作用のある薬の投与量を実際より少なく記載するとともに、原本の一部を心研から持ち去る−−などを行い、他人の刑事事件の証拠を偽造し、隠滅したと認定された。
 
 被告弁護士は、1.記録類の改ざんに当たって、瀬尾医師は民事事件に発展する可能性は考えていたが、刑事事件に発展する可能性は認識にしていなかった、2.当時の主任教授の今井康晴氏の指示を受けて犯行に及んだ−−などと弁明したが、いずれも退けられた。
 
 判決では、今回の証拠隠滅を「たとえ、医療過誤を公にすべきでないという主任教授の意向や心研内の風潮がある旨の認識の下に本件犯行に及んだとしても、社会的にみて同情に値するものでははなく、むしろ枢要な地位にあった医師として、より厳しい非難を免れない身勝手な考え」とした。
 
 平柳明香さんの父親である利明氏は、「有罪は予想していた判決。ただし、今井氏の関与を示唆する内容ではなかった点が不満」と話している。
(橋本佳子、日経メディカル

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