2004.03.15

英国高血圧学会が高血圧診療ガイドラインを改訂、「AB/CDルール」を公式採用

 英国高血圧学会(BHS)はこのほど、高血圧診療ガイドラインを改訂、Journal of Human Hypertension(JHH)誌3月号に発表した。血圧分類など基本路線は世界保健機関(WHO)/国際高血圧学会(ISH)のガイドラインと同じだが、降圧薬の選択基準として、いわゆる「AB/CDルール」を初めて公式に採用した。

 「AB/CDルール」は、4クラスの降圧薬、つまりアンジオテンシン系抑制薬(A)、β遮断薬(B)、カルシウム拮抗薬(C)とサイアザイド系利尿薬(D)を併用する際のルール。第一選択薬にAやBを選んだ場合、併用薬には作用点が異なるCやDを選び、第一選択薬をCやDにした場合は2剤目としてAやBを併用するというものだ(J. Hum. Hypertens.;17,81,2003)。なお、Aにはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン2(A2)受容体拮抗薬が含まれる。

 今回のガイドラインでは、年齢や人種により、第一選択薬を「AB」あるいは「CD」とし、併用薬を「CD」あるいは「AB」とするよう推奨。少量の利尿薬を第一選択薬とした米国のガイドライン(関連トピックス参照)や、α遮断薬を含む5剤を一律に推奨した欧州のガイドライン(関連トピックス参照)とは、一線を画すものとなった。

55歳未満は「AB」、55歳以上や黒人は「CD」を第一選択薬に

 薬剤選択の基準になるのは、患者の年齢と人種。患者が黒人、あるいは55歳以上の場合は、第一段階の治療としてCまたはDを単剤で投与、十分な降圧が得られない場合はAまたはBを追加する。

 逆に、黒人以外の若年者(55歳未満)に対しては、まずAまたはBを投与。降圧が不十分な場合はCまたはDを併用する。

 いずれの場合も、2剤併用で十分に血圧が下がらない時は第三段階としてAまたはB、CとDの3剤を併用、これでも不十分な時はα遮断薬かスピロノラクトン、サイアザイド系以外の利尿薬を追加する。

 ただし、併用ルールを説明する図には、「BとDを併用すると、他の組み合わせに比べ糖尿病の新規発症が多い」と注記されている。図中の記述も、「CD」側が「C or D」と書かれているのに対し、「AB」側は「A(or B)」とβ遮断薬は括弧付きで示されており、事実上はβ遮断薬を除いた「A/CDルール」となっている。

 このガイドラインのタイトルは、「Guidelines for management of hypertension: report of the fourth working party of the British Hypertension Society, 2004--BHS IV」。現在、こちら(PDF形式)で全文を閲読できる。なお、British Medical Journal(BMJ)誌3月13日号には、同ガイドラインの簡易版が掲載されており、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.5.15 米JNCが高血圧ガイドラインを改訂、血圧120〜139/80〜89mmHgを「高血圧前症」に
◆ 2003.6.16 ESH/ESCの欧州版高血圧GLが発表、「高血圧前症」を用いず旧来通りの血圧分類を採用

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.11.28 WHO/ISHが高血圧ガイドラインを事実上改訂、「コスト重視の米国」と「リスク重視の欧州」の中間的な内容に

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