2004.03.15

【連載:がんの治療成績を読む】 その13 「同疾病・同病期」比較でも、施設群格差は存在 3期、4期に大きな生存率の違い

 本来、がんの生存率を比較する場合、条件を統一して比較することが大切だ。これまでも繰り返し述べているように、生存率の差は医療技術の差と患者背景の二つに起因すると考えられる。患者背景には、疾病、病期、病態、全身状態(余病の有無)、年齢など多くの因子がある。本来は、こうした予後因子を勘案した期待生存率を患者単位、病院単位で集計し、実生存率と期待生存率を開示することで施設の実力を測るべきだ。だが、現状ではそうした開示は行われていない。  

 今回は、全国がん(成人病)センター協議会に加盟する施設に関して、予後因子の中でも比較的大きな比重を占める疾病種類、病期を揃えて比較したデータがあるので紹介したい。残念ながら「個別」施設ごとでなく、施設「群」ごとの集計ではあるが、がん治療施設によって大きな実力差があることを十分に示唆してくれる興味深いデータである。  

 <>は、胃がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、乳がん、子宮がんの6疾病について、施設群、病期別に出した5年生存率だ。<図1〜図6>は、それをグラフにしたものだ。

 一目で分かるのは、3期、4期の生存率が施設群によって大きく異なっている点で、下記のような傾向が認められる。

1.胃がんの4期では、がんセンター群以外の生存率が低い。
2.結腸がんの5期では、総合病院併設がんセンター群が高く、成人病センター群が低い。
3.直腸がんでは、がんセンター群の4期での高さとV期での低さが目立つ。3期の総合病院併設がんセンター群の生存率が他と比べて低い。
4.肺がんでは、2期、3a期、3b期、4期とも施設群ごとに生存率にばらつきがある。
5.乳がん4期では、総合病院群の生存率が低い。

 もっとも統計学的有意性があるかどうかはさらなる情報開示と分析が必要である。今回掲載した生存率は、患者背景のうち疾病と病期は合わせてあるが、その他の病態、全身状態、年齢などの因子は調整されていない。また、疾病や病期によっては症例数が多くはなく、統計学的には誤差が大きいと考えられる。

 だが、疾病・病期別の生存率を出すのは、期待生存率別の施設比較をするための大切な第一歩だ。主な疾病について、疾病・病期別の生存率を施設別に開示することが期待される。施設ごとではさらに症例が少なくなるが、統計学的誤差の数値も添えて出すと解釈しやすくなるだろう。それを数年間続ければ、施設ごとの実力さの有無と、その程度が浮き彫りになるはずだ。

(埴岡健一、日経メディカル

*随時掲載ですが、当面は毎日掲載する予定です。
*読者からの情報提供をお待ちしています。癌の治療成績に関するデータやご意見があれば、お寄せください。今後の連載の参考にさせていただきます。
宛先:khanioka@nikkeibp.co.jp

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