2004.03.15

2003年夏の熱波による欧州の超過死亡は2万人以上、健康被害対策が急務

 フランスなど欧州各国では、2003年夏の記録的な熱波来襲で、判明しているだけで2万人を超える超過死亡があった。医療や社会福祉で世界最高水準を誇る西欧諸国も熱波による健康被害には脆弱であることが明らかになり、長期的な対策の必要性が急浮上しているようだ。欧州感染症週報(Eurosurveillance)2004年3月11日号で英国のLondon衛生熱帯医学校のSari Kovats氏らが各国の公式発表をもとに報告した。

 それによると、英国、フランス、イタリア、ポルトガルの各国が熱波による超過死亡数を報告しており、その合計は約2万2000人に上る。特にフランスでは50年来の高温で、2003年8月1日から20日までの20日間に1万4802人が熱波のために死亡し、その間の死亡者数を60%押し上げたと推計されている。パリで8月11日と12日に記録した夜間気温25.5度は史上最高だという。ほかに英国では2045人、イタリアでは3134人、ポルトガルでは2099人が熱波による超過死亡として報告されている。

 フランスのデータによると、超過死亡の大半は75歳以上の高齢者で、60%以上は病院、ヘルスケア施設、引退者施設で死亡している。熱波は西ヨーロッパ全土を襲ったが、地域差が著しく、フランス中央部のいくつかの都市では超過死亡率が100%を超えているという。

 著者らは、熱波によるこうした健康被害は欧州が熱波による健康被害に脆弱であることを示しており、社会システムが対応しきれなかったことを示していると見ている。世界保健機関(WHO)も熱波による健康被害の低減を目指し、短期と長期の戦略立案を推奨しているとしている。

 報告の原題は、「Heatwave of August 2003 in Europe: provisional estimates of the impact on mortality」。全文がこちらに掲載されている。(中沢真也)

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