2004.03.12

メタボリックシンドローム例では左室拡張不全が多い

 拡張障害性心不全の危険因子としては高血圧がよく知られているが、必ずしも高血圧を伴わない「メタボリックシンドローム(MetS)でも拡張不全が多いとする横断研究が、オーラルセッション「心不全:拡張障害」にて、米国Washington UniversityのSheng-Jing Dong氏により報告された。MetS例では血圧だけでなく、「腹部肥満」と「高TG血症」が拡張不全の危険因子となっていた。

 米国脂質管理ガイドラインATPIIIの定めるMetSは、五つの要因――腹部肥満、低HDLコレステロール(HDL-C)血症、高トリグリセライド血症、空腹時高血糖、高血圧――の三つ以上に相当する例だ。

 そこでDong氏らは、左室駆出率50%以上の外来患者179例(「冠動脈疾患」と「心臓弁膜疾患」は除外されている)を、上記要因に一つも相当しない「正常群」(37例)、1〜2の要因に相当する「境界群」(97例)と「MetS群」(45例)に分け、心機能を検査した。拡張機能の指標は、心房収縮期波速(A)に対する左室拡張早期波速(E)比である「E/A比」、「E波減速時間(DcT)」、「僧帽弁流入血流速度(Em)」を用いた。

 まず、「E/A比<1またはDcT>240msec」を拡張不全の指標とすると、「正常群」における拡張不全例の割合は5%だったのに対し、「境界群」では26%、「MetS群」では60%と有意な増加を示した。「MetS群」における拡張不全例の割合は「境界群」に比べても有意に多かった。「Em<9cm/sec」を基準としても同様で、「MetS群」に占める拡張不全例の割合は36%で、「正常群」3%、「境界群」10%に比べ有意に多かった。

 このようにMetSで拡張不全が多いことが明らかになったが、MetSには上記の通り五つの要因がある。そこでDong氏らは、拡張不全の規定因子がこの5要因中にあるかどうかを検討した。

 3群間に有意差のあった「年齢」と「左室肥大の程度」で補正後に単変量解析を行うと、「低HDL-C血症」は有意な因子ではなくなった。また、次に行った多変量解析の結果、「高血圧」「高トリグリセライド血症」「腹部肥満」の三つが、拡張不全の独立した因子だと明らかになった。この3因子で、MetS群の拡張不全の55%が説明された(r 2 =0.55)。

 今回検討されたMetS群は87%に高血圧、82%に高トリグリセライド血症、78%に腹部肥満が認められており、降圧治療と並び、体重減少が急務と思われる。

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