2004.03.11

「野菜と果物たっぷり食」は高血圧を防ぐ−−米研究で明らかに 逆に、「肉たっぷり食」は血圧が高くなりやすい

 アメリカの中年男性1700人を7年間追跡調査した研究から、野菜や果物に高血圧を予防する効果があることがわかった。野菜や果物をたっぷり取る食生活の人は、年を取っても血圧があまり上がらなかった。逆に、肉をたくさん食べる人は血圧の上がり方が大きかったという。研究結果は、American Journal of Epidemiology誌3月15日号に掲載された。

 この研究はthe Chicago Western Electric Studyと題されたもので、アメリカを代表する「職域コホート研究」の一つ。同じ職場に勤める人(職域コホート)を、何年にもわたり追跡調査する研究だ。

 追跡調査は40年以上続いており、「魚をたくさん食べる人は心筋梗塞(こうそく)で死ぬリスクが低い」(NEJM;336,1043,1997)ことなど、私たちの健康に役立つ貴重なデータがたくさん得られている。

 今回はこの膨大な調査データの中から、1950〜60年代の「初期のデータ」7年分のみを使って、食生活と血圧の関係を分析した。

 古いデータを使ったのは、当時はあまり良い高血圧の薬がなく、血圧を薬で下げている人がまれだったから。ほとんどの人が血圧降下薬を飲んでいないので、本来の血圧がわかる。

 安全でよく効く薬がある今の時代は、もはやこういう調査は不可能だ。

 調査では、最初の2年間に2回、栄養の専門家が参加者を面接して、普段どんな食べ物をどれだけ食べているかを詳しく聞き出した。

 また、1年目〜7年目まで、医師が毎年血圧を測り、血圧がどう変化していくかを記録した。

 調査を始めた1959年当時、参加者男性の平均年齢は48.5歳。その時の血圧の平均値は、上の血圧(収縮期血圧)が130.0mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が84.9mmHgだった。

 7年目の血圧は、平均するとそれぞれ141.2mmHg、86.5mmHgに上がっていた。

野菜をたっぷり食べる人は、あまり食べない人より血圧上昇率が3割低い

 食べ物だけによる影響を調べるために、研究グループは、年齢、体重、1日に取るエネルギー量やたばこを吸うかどうかなど、血圧に影響するかもしれない要素でデータを補正。その上で、1カ月に食べる野菜や果物、肉、魚の量と、血圧の上昇率との関係を分析した。

 すると、野菜をたっぷり食べている人は、あまり野菜を食べない人より、上の血圧の年間上昇率が3割低いことが判明した。また、果物でも同様に17%低かった。

 一方、牛肉や羊肉などをたくさん食べる人は、肉をあまり食べない人より、上の血圧の年間上昇率が4割高かった。豚肉や鶏肉でも同様で、たくさん食べる人はあまり食べない人より血圧上昇率がそれぞれ27%と11%高かった。

 なお、魚をたくさん食べる人は、血圧上昇率が低い傾向があった。

 ただし、アメリカ人を対象とした研究のため、魚をたくさん食べる習慣がある人が少なく、はっきりしたことはわからなかった。

 年を取ると、若い頃より肌の張りが少なくなり、シミやシワができるが、実は体の中でも同じことが起こっている。

 血管の弾力性がなくなり、血管の内側に脂肪などの老廃物が貼りついて、血管が細く、硬くなってしまうのだ。

 そこで体は血圧、つまり心臓が血液を送り出す圧力を上げて、必要な血液を体のすみずみに届けようとする。

 中年を過ぎると高血圧の人が増えるのは、その意味で自然なことだ。

 日本人でも、30歳代で高血圧の人の割合は、男性が24%、女性が7%。

 50歳代になると、男性の52%、女性の43%が高血圧になる(厚生労働省の「平成11年国民栄養調査」による)。

 今回の結果は、この「自然な流れ」を、食生活を工夫することで遅くできる可能性を示すもの。

 血圧が気になりだしたら、野菜や果物をたくさん取るようにした方がいい。

 この論文のタイトルは、「Relation of Vegetable, Fruit, and Meat Intake to 7-Year Blood Pressure Change in Middle-aged Men :The Chicago Western Electric Study 」。アブストラクトは、こちらまで。厚生労働省の国民栄養調査に関しては、こちらから詳しいデータが得られる。(内山郁子)

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