2004.03.11

【再掲】【ACC2004速報】 ACE阻害薬の糖尿病に対する有用性にまた疑問符−−PERSUADEより

 昨年報告されたEUROPE試験では、冠動脈疾患例に対するACE阻害薬の有用性が示されたが、糖尿病例を対象としたサブ試験「PERSUADE」では、プラセボに優る有用性はほとんど見出されなかった。英国Royal Brompton HospitalのKim
Fox氏(写真;中沢真也撮影)により、学会最終日である3月10日のLate Breaking Clinical Trial IIIにて報告された。

 PERSUADEでは、冠動脈疾患が認められ、標準的治療を受けている18歳以上の糖尿病1502例が、ACE阻害薬群またはプラセボ群に無作為割り付けされ、二重盲検法にて平均4年間追跡された。再灌流療法の適応となる例と心不全の兆候を認める例は除外されている。平均年齢は62歳、血圧はおよそ140/82mmHgだった。

 第一評価項目の「心血管系死亡、非致死性心筋梗塞、または蘇生できた心停止」の相対リスクはACE阻害薬群でプラセボ群に比べ19%減少傾向を示したが、有意差とはならなかった。

 同様に、総死亡、心血管系死亡、全心筋梗塞、心不全発症(p=0.06)もACE阻害薬群で減少傾向を示すものの、有意ではなかった。脳卒中のリスクにも有意差はなく、ACE阻害薬群で有意に減少していたのは、本日発表された中では「非致死性心筋梗塞」だけだった。

 PERSUADEの親試験であるEUROPA(糖尿病以外の冠動脈疾患例を含む)と比較すると、相対リスク減少率は、第一評価項目(PERSUADE:19% vs EUROPA:20%)、全心筋梗塞(P: 23 vs E:24%)、心不全(P: 46 vs
E:39%)で、いずれも同程度だった。

 これらの差がPERSUADEにおいて有意とならなかった原因としてFox氏は、「脳尿病例では病態が進展しているため、この試験期間では不十分だった可能性がある」と指摘している。

 糖尿病例に対するACE阻害薬の有用性が示されなかった大規模試験としては、最近報告されたDIABHYCARがある(関連トピックス参照)。

 DIABHYCARでは、ACE阻害薬群の血圧は「2.43/1.06mmHg」プラセボ群よりも低いだけだったが、PERSUADEでは追跡期間中の血圧については一切示されなかったため不明だ。

 座長から追跡期間の血圧について質問された際のFox氏の答えは、「それはできません。できたことはありません。というのも、導入期間には全員がACE阻害薬を服用しているのですが、その後、無作為割り付けされ、有効性を検討することになります。追跡期間を通じ血圧の変化を調べるべきですが、その時点ではプラセボか実薬に割り付けられているのです(I can't do that. I've never been able to do that. Because, of course, we did the run-in preriod, all the patients were on the treatment phase. And then we randomize, then we see the effects. What we need to do, and of course we'd better to do in maybe in the trial is to examine blood pressure changes over the period of time. But of course at that stage, patients' then randomized to pacebo or active threrapy)」−−というものだった。
(宇津貴史、医学レポーター)

■ 関連トピックス ■
◆ 2004.2.20 低用量ラミプリルは2型糖尿病の心血管系イベントと腎障害進展の抑制に無効−−DIABHYCAR試験

■ 訂正 ■
 記事中「本日はカプラン・マイヤー曲線が提示されなかったが、両群間の差は広がりつつあるまま試験終了を迎えたと考えられる」と記述しましたが、カプラン・マイヤー曲線が提示されていましたので、この一文は削除します。

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