2004.03.11

スタチンは総コレステロール高値の心不全例で著明に生存率改善−−ENABLEサブ解析より

 HMG-CoA還元阻害薬は、重症心不全例の生命予後を、治療前の血清脂質値依存的に改善するとのデータが、大規模試験ENABLE(Endothelin Antagonist Bosentan for Lowering Cardiac Events in Heart Failure)の後解析で得られた。イスラエルAssaf-Harofeh Medical CenterのOlga Milo氏らが3月7日のポスターセッション「StatinTherapy: Beyond Lipids」で報告した。

 ENABLEは、標準的治療にもかかわらずNYHA分類IIIb以上である重症心不全例に対する、エンドセリン拮抗薬の有用性を平均1.5年間検討した無作為化試験で、2002年の本学会で報告された。今回はエンドセリン拮抗薬を服用しなかったプラセボ群807例を対象とした解析だ。807例の血清総コレステロール(TC)濃度中央値は193mg/dl、428例(56%)がスタチンを服用していた。

 まず、スタチン「服用」群では「非服用」群に比べ有意に生存率は良好だった。同様に、試験開始時TC「>193mg/dl」群の生存率は「≦193mg/dl」群を有意に上回っていた。

 そこで「スタチン服用の有無」と「試験開始時TC値」を組み合わせて生存率を比較すると、スタチン「非服用」群では試験開始時のTC値は生命予後と無関係だった。一方、スタチン「服用」群では、「TC>193mg/dl」例の生存率が「≦193mg/dl」例よりも有意に高かった。スタチン服用群で見られたこの関係は、虚血性心不全、非虚血性心不全にわけて検討しても有意だった。

 これより、試験開始時のTC値によりスタチンの生存率改善作用が異なることが示唆されるが、事実、「TC>193mg/dl」群におけるスタチンの生命予後改善作用は、「TC≦193mg/dl」群で見られた作用よりも著明だった。

 このように「TC193mg/dl」の上下で2群に分けた場合、程度の差はあれスタチン服用例の生存率が有意に改善されていたため、スタチンによる生存率改善作用が消失する下限を求めるべく、試験開始時TC値の4分位数で分けた下位2群(TC<162mg/dl)の190例において比較した。すると、スタチン「服用」例と「非服用」例の生存率は同等で、重症心不全例におけるスタチンによる生存率改善作用のTC閾値は、160〜190mg/dlの間にあると思われる。スタチンが重症心不全例において、心不全の成因を問わず、試験開始時のTC依存性に心保護作用を発揮する形となり、Milo氏らはどのような機序が働いているのか興味を示していた。

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