2004.03.11

冠動脈疾患を認めないハイリスク例には、アスピリンだけでなくスタチン追加がより有効か

 米国では冠動脈イベント予防を目的に多く服用されている低用量アスピリン(ASA)だが、米国Johns Hopkins Medical InstitutionのMarlene S. Williams氏は、ASAに加えHMG-CoA還元酵素阻害薬を服用することにより、さらに予防作用が増強される可能性を、3月9日のオーラルセッション「心血管系イベントの新たな危険因子」にて報告した。横断研究の結果、「低用量ASA+スタチン」がそれぞれの単剤よりも、炎症反応抑制作用が強力だったからだという。

 横断研究の対象となったのはThe Johns Hopkins Sibling Study参加例中、明らかな冠動脈疾患を認めなかった706例。冠動脈疾患以外にも、NSAIDS服用例や副腎皮質ホルモン剤の慢性服用例、自己免疫疾患や重篤な疾患を持つ例も除外されている。平均年齢は49歳、血圧は134/85mmHg、血清総コレステロールは211mg/dl、糖尿病罹患例は9.9%のみ。喫煙者は27.8%、BMI29.7kg/m2だった。

 これら706例を、低用量ASAのみを服用している「ASA群」(23例)、スタチンのみ服用の「スタチン群」(56例)、スタチンとASAを併用している「併用群」(13例)と、いずれも服用していない「非服用群」(614例)に分け、炎症反応の指標として血中の高感度C反応性蛋白(hs-CRP)濃度を比較した。

 その結果、「併用群」の平均hs-CRP濃度は1.4μg/mlで、「ASA群」の2.1μg/ml、「スタチン群」の2.7μg/ml、「非服用群」の3.1μg/mlに比べ、著明に低い値となった。

 しかしながら、無作為化試験ではないのでこれら4群の背景因子にはばらつきがある。そこでWilliams氏が「ASA群」と「非服用群」を合わせた集団を対象に重回帰分析を行うと、hs-CRPを減少させる有意な因子として「ASA」と「男性」が明らかになり、逆に、「年齢」、「喫煙」、「BMI」はhs-CRPを増加させる有意な因子だった。また、「スタチン群」、「併用群」で検討しても同様に、薬剤の服用はhs-CRP減少の有意な因子となっていた。

 しかし、hs-CRP減少に与える影響の大きさを示す偏回帰係数は、ASA「−0.7」、スタチン「−0.8」に対し、スタチン+ASAでは「−1.4」で、スタチン・ASA併用によるhs-CRP減少作用が単剤よりも強力なことが明らかになった。

 hs-CRPは心血管系イベントの予知因子として確立されつつあるためWilliams氏は、「明らかな冠動脈疾患がない場合、冠動脈イベント初発予防にはASAだけでなくスタチンを併用した方が効果的である可能性が高い」と述べている。また同氏らは現在、スタチン、ASAの単剤と併用がイベントに与える影響を検討する臨床試験を検討中だという。

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