2004.03.11

心肺蘇生時の過呼吸防止で蘇生率は劇的に向上する−−救急救命教育に警鐘

 救命専門家による心肺蘇生時の人工呼吸はガイドラインで規定された速度の3倍も早く、そのために蘇生率が大幅に悪化している可能性がある。救急救命教育に大きな課題を投げかけることになりそうな研究成果が3月8日の特別ポスターセッションで発表された。米Minnesota大学医学部のDemetris Yannopoulos氏が報告した。

 米国心臓協会(AHA)などが提唱している「ガイドライン2000」では、心肺蘇生時の人工呼吸の頻度として、1分間に12〜15回の速度を提唱している。ところがYannopoulos氏らの研究チームが職業救命者が施す人工呼吸のピッチを測定したところ、平均36回と極めて早いことが分かった。

 そこでYannopoulos氏らは、ブタに心停止を起こして6分間放置した後、1分間に12回、20回、30回と異なるピッチの人工呼吸を2分間施して蘇生率などを測定した。異なるピッチは無作為に割り付けられた。

 結果は驚くべきもので、毎分30回の人工呼吸を施した場合、1時間後の蘇生率は14.4%だったのに対し、ガイドライン通りの毎分12回では、実に85.5%の蘇生率になった。

 頻回の人工呼吸が蘇生率の悪化をもたらす原因についてYannopoulos氏は、「過度の換気が胸腔内圧を上昇させて静脈を圧迫し、冠血流量を減少させるため。実験動物に心停止を起こす方法がまさにこれだ」と指摘する。懸命な救命措置が逆に心停止をもたらしかねないとしたら、実に恐ろしいことだ。同氏は、「救命士扱いの院外心停止患者の蘇生率が米国で5%に満たない原因の一つが、この過剰な人工呼吸による可能性がある」と述べている。(中沢真也)

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