2004.03.11

急性心疾患後の長期投薬で、服薬中断の最大要因は医師の投薬指示

 「お薬を出しておきますから」という指示は「この薬を指示に従ってのまないとあなたの命にかかわります」とはとられない可能性がある。急性冠疾患後に処方されるACE阻害薬、β遮断薬などの服薬コンプライアンスについて、医師と患者のコミュニケーションギャップを示した研究成果を、3月9日のポスターセッション「ケア成功における患者と医師の要因」で米Michigan大学のAnchal Sud氏が報告した。

 Sud氏らの研究グループは、心筋梗塞、または不安定性狭心症の治療を受けて、退院した154人に対し、電話による調査を試みた。患者の年齢は平均64.3歳、女性は45.6%、95.9%が白人で、教育程度は7割が高卒以上と比較的高い。

 対象とした薬剤はアスピリン、脂質代謝改善薬、ACE阻害薬、β遮断薬の4種類。服薬コンプライアンスについては、中断した場合はその理由、服薬順守度については、Morisky Adherence Scale(MAS)で数値化した。MASは、1=全くない、3=時々、5=いつも、という設定で1〜5の5段階で指示違反の頻度を示す。で5段階で回答し、回答の理由を尋ねた。

 その結果、フォローアップ時に服薬を継続していた比率は、薬剤の種類にかかわらずほぼ90%(87.7〜91.5%)と高く、中断者は1割程度と少なかった。しかし、服薬を中断した患者に理由を尋ねたところ、群を抜いて多かったのが、「私の医師がこの薬を必要と考えていなかった(と思った)から」で、回答の実に54.0%を占めた。次いで、「副作用が嫌だ」が9.2%、「薬を購入できない」が5.3%の順だった。

 ただし、継続はしていても服薬指示の順守は困難のようだ。MASスコアが1より大きく、服薬しないことがあるとした比率は、アスピリンで43.1%、脂質代謝改善薬で48.6%、ACE阻害薬で40.8%、β遮断薬で41.5%と4割強にのぼった。薬剤間の差には統計的有意差は見られなかった。これを、理由別に分類すると、最も多かったのが、「のむのを忘れた」、次いで「服用に注意していない」、「具合が良い時にはのまない」、「具合が悪い時にはのまない」の順だった。

 Sud氏は、医師は服薬順守度が低い理由をよく分析すべきだと指摘する。患者の理解度を十分に確認して、自分の指示とのギャップを確認しておくことが欠かせないようだ。(中沢真也)

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