2004.03.11

PCI前スタチン服用で心筋傷害軽減

 ステントをdenovo病変に留置する際、それ以前からHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を服用していた例では心筋傷害が抑制されると、University Clinic EssenのMichael Haude氏らが、ポスターセッション「冠動脈ステント:補助療法」で発表した。

 Haude氏らはdenovo単純病変に対してステントを留置した連続1218例を「留置前スタチン服用」の有無で2群に分け、血中の心筋傷害マーカーを比較した。「ステント留置時に生ずる微小血栓が、心筋を傷害している」という認識のもと、「スタチンによる抗炎症・抗血栓作用が微小血栓を抑制し、ステント留置時の心筋傷害を軽減する」という仮説を検討するためだ。そのため、腎障害、甲状腺疾患、筋障害例は含まれておらず、またGPIIb/IIIa阻害薬は使用しなかった。

 心筋傷害の指標は「クレアチニンフォスフォキナーゼ(CK)」、「心筋型CK(CK-MB)」、「トロポニンI」とした。そして、「ステント前」、ステント留置「6時間後」、「12時間後」、「24時間後」に血中濃度を測定したところ、スタチン「非服用」群(206例)では、いずれの最大値も「服用」群(1012例)に比べ有意に高かった。また、CK、CK-MB濃度が正常最大値(ULN)を越えた例を「ULN2倍未満」、「3倍未満」、「3倍以上」、またトロポニンI濃度の異常値(0.1μg/l以上)を「0.4μg未満」、「1.0μg未満」、「1.0μg以上」――のそれぞれ3カテゴリーに分け、それらの異常値を示す相対リスクは、いずれのカテゴリーでも「非服用」群で「服用」群よりも有意に大きかった。

 さらに、この相対リスクを「ステント留置前」のLDLコレステロール値で3群に分けて検討しても、やはり「非服用」群では「服用」群に比べ有意に増加しており、同等のLDLコレステロール例の心筋傷害がスタチン服用群で抑制されていた。スタチンによる脂質低下作用以外の作用が示唆される。

 両群の背景因子や病変の違いなどがこの差をもたらした可能性だが、ステント留置前の背景因子は、「服用」群で「非服用」群に比べ高脂血症例の割合が有意に多かった(100% vs 52%)以外、年齢、性別、高血圧や糖尿病合併率、喫煙者の割合、家族歴に有意差はなかった。逆に、「服用」群では「経皮的冠動脈インターベンション既往例」と「多枝病変例」の割合が、「非服用」群よりも有意に多く、より動脈硬化の進展している例が多かったと考えられる。狭心症重症度は両群間に有意差を認めず、また、ステント留置部位と留置病変のAHA/ACCタイプの分布も、両群に差はなかった。

 これらよりHaude氏らは、ステント留置後の微小血栓による心筋傷害をスタチンは抑制し、その作用としては脂質低下以外の作用が示唆される──と結論付けていた。

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