2004.03.10

【再掲】高用量アトルバスタチンによる動脈硬化進展抑制は通常用量プラバスタチンに優るが、臨床的有用性は今後の課題−−REVERSAL試験報告

 冠動脈プラークを血管内超音波法(IVUS)で評価し、プラバスタチン40mg/日による通常脂質低下治療とアトルバスタチン80mg/日による積極的低下治療の「粥腫(プラーク)進展抑制作用」を比較したREVERSAL(Reversal of Atherosclerosis with Aggressive Lipid Lowering)試験が米医師会雑誌Journal of American Medical Association(JAMA)2004年3月3日号に掲載された。筆者である米国Cleveland Clinic FoundationのSteven E. Nissen氏らは、アトルバスタチン80mg/日による積極的脂質低下治療のプラーク進展抑制作用はプラバスタチン40mg/日よりも強力であると結論付け、抗炎症作用の差が関与している可能性を指摘している。

 REVERSAL試験の導入基準は、冠動脈造影で20%以上の狭窄が認められ、プラークを含む血管に血行再建術の既往がなく、プラーク狭窄度50%以下、薬剤非服用導入期間(4〜10週間)のLDLコレステロール(LDL-C)が125〜210mg/dl−−というものだった。

 同試験では、657例をプラバスタチン群(329例)とアトルバスタチン群(328例)に無作為割り付けし、18カ月間、二重盲検法で追跡して、最終的にプラバスタチン群249例(76%)とアトルバスタチン群253例(77%)を評価対象とした。第一評価項目は、IVUSで評価した「試験開始時から終了時までのプラーク容積変化率」で、血管断面における「血管内腔から外弾性板までの領域」をプラークとした。

 プラバスタチン群における追跡期間中の容積変化率の中央値は2.7%(p=0.001 vs 試験開始時)で、若干ながら有意なプラークの進展を認めたが、アトルバスタチン群では−0.4%(p=0.98 vs 試験開始時)で、進展は認められなかった。両群間の差は統計的に有意だった(p=0.02)。脱落例を含めて解析しても有意な差が見られた。有害事象発現と服薬中止に関しては、脱落例を含めに両群間に差はなかった。

 また、事前に層別化されたサブグループで第一評価項目を検討すると、高齢者(年齢中央値以上)、女性、白人、現在喫煙なし、BMI=30以上、高血圧既往例、LDL-C平均値以下の各群において、アトルバスタチンはプラバスタチンよりも有意なプラーク進展抑制作用を示し、プラーク退縮傾向が認められた。

 両群間の差は有意ではなかった(p=0.06)ものの、スタチン服用歴のある例では、アトルバスタチン群のプラーク退縮率は4.0%(p=0.91)で、今回のサブグループでは最大の退縮率を示し、逆にプラバスタチン群では5.1%(p=0.003)で、サブグループ内最大の進展率を示した。なお、スタチン服用歴があったのは144例で、全体の28%で当たる。

 脂質パラメータを比較すると、試験開始時150mg/dlだったLDL-C値は、プラバスタチン群110.4mg/dl、アトルバスタチン群78.9mg/dlに低下し、後者で有意な低値を示した(p<0.001)。総コレステロール値も同様で、アトルバスタチン群で有意に低下していた(プラバスタチン群187.5mg/dl、アトルバスタチン群151.3mg/dl。p<0.001)。

 ただし、試験開始時にはおよそ42mg/dlだったHDLコレステロールは、有意でないもののプラバスタチン群において高値を示した(プラバスタチン群44.6mg/dl、アトルバスタチン群43.1mg/dl。p=0.06)。

 これらの両群における総コレステロール、LDL-Cの達成値の差が、両群のプラーク退縮率の差の原因となった可能性についてNissen氏らは、LDL-C値が同等の例で比較してもアトルバスタチン群における進展抑制・退縮作用はプラバスタチン群よりも強力であったことを指摘し、プラバスタチンとアトルバスタチンによるトリグリセライドやC反応性タンパク(CRP)減少率の差が反映されていると推測している。

 REVERSALにおける試験終了時のトリグリセライド値は、プラバスタチンが165.8mg/dl、アトルバスタチン群が148.8mg/dlで、アトルバスタチン群で有意に低く、CRPも同様に2.9mg/dlと1.9mg/dlでアトルバスタチン群が有意に低かった(いずれもp<0.001)。

 CRPに関してはプラバスタチン40mg/日とアトルバスタチン10mg/日の減少作用が同等とのデータが報告されており、(Ciruclation 2001; 103: 1933)、アトルバスタチンのCRP低下作用が用量依存的にプラバスタチンを上回った可能性も否定できない。Nissen氏らが指摘している通り、本試験開始時にプラバスタチン80mg/日との比較は不可能だったが、CRP低下作用との関係ではプラバスタチン80mg/日との比較も興味深いのではないだろうか。

 なお、本試験における心血管系イベントの発生は、死亡2例、心筋梗塞11例、脳卒中2例と少なかったため、両群間に有意差は見られなかったが、これは、本試験が臨床イベントを評価するよう設計されていないので、症例数と観察期間が不十分だったためとされている。

 本論文の原題は「Effect of intensive compared with moderate lipid-lowering therapy on progression of coronary atherosclerosis: a randomized controlled trial」。アブストラクトはこちらまで。(宇津貴史、医学レポーター)

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