2004.03.09

プラバスタチンとアトルバスタチンの抗酸化作用に差はない

 HMG-CoA還元酵素阻害薬では、脂質低下作用以外のpleiotropiceffect(多面的作用)が注目されているが、健常成人にではプラバスタチンとアトルバスタチンの直接的抗酸化作用に差がない――とする報告を、米国University of PennsylvaniaのBonnie Ky氏らが3月7日のポスターセッション「Statin Therapy:Beyond Lipids」で報告した。

 8-イソプロスタン、C反応性タンパク(CRP)、ならびに可溶性接着分子に対する両スタチンの作用は同等だった。Ky氏らは、LDLコレステロール(LDL-C)値が130〜220mg/dlで、脂質低下薬非服用の健常例(21〜80歳)を、1.プラバスタチン40mg/日群(24例)、2.アトルバスタチン10mg/日(29例)、3.アトルバスタチン80mg/日群(26例)とプラセボ群(27例)の4群に無作為割り付けし、16週間、二重盲検法で追跡した。

 16週間後、LDL-Cの変化率は、プラバスタチン群は試験開始時から26%、アトルバスタチン10mg/日群は31%、80mg/日群では42%、いずれも有意に減少していたが、プラセボ群には有意な変化は認められなかった。スタチンの直接的抗酸化作用は、ガスクロマトグラフ質量分析で測定した、尿中8-イソプロスタン濃度で評価された。イソプロスタンは、脂質の過酸化に特異的で高感度な指標である。試験開始時の尿中8-イソプロスタン濃度は、有意差はないものの、プラセボ群が最も高く、次いでアトルバスタチン10mg/日群、プラバスタチン群、アトルバスタチン80mg/日群の順だった。しかし16週間後、8-イソプロスタン濃度に有意な変化が見られた群はなかった。試験開始時のばらつきに考慮し、全体の試験開始時8-イソプロスタン濃度中央値(3.36ng/mg Cr)を越える例のみ、または4分位数で分けた最高位(4.84ng/mgCr)の例だけで検討しても同様で、プラセボに比べ有意な変化を示したスタチン群はなかった。

 また、抗酸化作用による炎症抑制を、血中高感度CPR(hsCRP)濃度を指標に比較すると、試験開始16週間後には、中央値で、プラセボ群は2%増加、プラバスタチン群は7%減少、アトルバスタチン10mg/日、80mg/日はそれぞれ11%、36%減少していたが、群間の差は有意ではなかった(p=0.09)。同様に、可溶性接着分子であるsICAM-1血中濃度中央値の変化率も、4群間に有意差は認めなかった。

 次に、酸化LDL濃度の中央値を比較すると、16週間の減少率は、プラセボ群3.3%、プラバスタチン群19.2%、アトルバスタチン10mg/日群28.3%、アトルバスタチン80mg/日群35.9%で、各群間の差は有意だった。しかし、これらの変化率はLDLコレステロール減少率と高度に相関していたため(r=0.62、p<0.001)、Ky氏らはスタチンによる直接的抗酸化作用が反映された変化だとは考えていない。

 以上よりKy氏らは「スタチンに直接的抗酸化作用はない」と結論付け、スタチンによるLDL酸化抑制には、直接的抗酸化作用以外の機序が作用している可能性を指摘した。しかしあくまでも、本成績は健常例を対象としたものである点は、留意する必要があろう。

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