2004.03.09

【ACC2004速報】 薬剤溶出ステントをバルーン拡張なしで留置するDIRECT試験、糖尿病患者で顕著な好成績

 バルーン拡張を行わずにステントを留置する手法は、薬剤溶出ステントでは薬剤がこすりとられてしまうので不適切−−。こんな常識を覆す最新の研究成果が3月7日のLate Breaking Clinical Trialセッションで報告され、注目を浴びた。処置後8カ月のフォローアップで比較した場合、あらかじめバルーン拡張する方式と比べて同等か、むしろ良い成績が得られ、特に糖尿病患者では再狭窄が激減しており、実用化への期待が高まっている。

 米Lenox Hill心臓血管協会のJeffrey Moses氏らの研究グループは、バルーン拡張によるシロリムス溶出ステントとバルーン拡張を用いないステント(ダイレクトステント)で、対象者の採用/排除の条件やステントのサイズを含む研究デザインを合わせて成果を比較した。ステント留置後8カ月のフォローアップを完了したダイレクトステント使用の167人とバルーン拡張ステントを使用した412人を比較した。

 その結果、8カ月後の再狭窄はステント内ではダイレクトステントが3.6%、バルーン拡張ステントが3.2%、病変部位ではダイレクトステントが6%、バルーン拡張ステントが9.1%で、いずれも有意な差は見られなかった。

 しかし、ステント内、ステント外のステント断端周辺では、ダイレクトステントが3%だったのに対してバルーン拡張ステントでは7.4%で、ダイレクトステントでは有意に少なかった。血管径別の成績を比較すると、有意差は見られなかったものの、血管径が細いほど、ダイレクトステントの方が再狭窄が少ない傾向が見られ、2.3mm以下の病変部位ではダイレクトステントが8.3%だったのに対し、バルーン拡張ステントでは18.3%だった。

 注目に値するのは糖尿病患者におけるステント導入の場合で、バルーン拡張ステントでは病変部位での再狭窄率が35%と非糖尿病の場合よりも悪化するのに対して、ダイレクトステントでは再狭窄例がなく、症例数が少ないもののバルーン拡張ステントと比較して有意に再発率が低かった。

 バルーン拡張による血管壁へのストレスの有無が小血管や糖尿病症例での成績に差をもたらしているとも考えられ、今後の研究の進展が期待される。
(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 50歳代男性。咳、痰、倦怠感 日経メディクイズ●胸部X線 FBシェア数:0
  2. 近所で有名な「怖い看護師さん」の処遇に悩む 榊原陽子のクリニック覆面調査ルポ FBシェア数:4
  3. 今年の大学医学部入試の問題から(その2) 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:1
  4. 山形県の麻疹感染が拡大、埼玉県や宮城県でも患者確… パンデミックに挑む:トピックス FBシェア数:288
  5. 最も長い名前の呼吸器疾患 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:8
  6. ヒドすぎる医療シーンに仰天「これが魔術か…」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:11
  7. 画像診断報告書の確認漏れが起こる理由 リポート◎指摘の見落とし、連携不足、多忙など改善点は多く FBシェア数:202
  8. 血中トランス脂肪酸高値は日本人でもCVリスク 学会トピック◎第81回日本循環器学会学術集会 FBシェア数:202
  9. 地域医療構想の未来とお座敷遊び「とらとら」と 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:0
  10. ガイドライン外来診療◆貧血 ガイドライン外来診療 FBシェア数:0